※このシリーズは臨也が変態です。閲覧注意してください。















好意(ただ名前を呼んだだけ)を見せたら、
行為がエスカレートしてしまいました



(桜満開だなぁ)

私立来良学園の生徒である私は、午後の5時間目の数学の授業が余りにも暇だった。
ので、窓側の席に座る生徒の特権であるお花見を十分にフル活用している。

……あれ?なにか今黒いものが…

こちらを向いて手をブンブンと振っているのが見えたのは…まぁ気のせいか。
だけどちょっと嫌な予感がするなぁ…。
思わず私は目を擦り、窓の外を再び確認した。

「なまえー!」

ちょ、あの人何でここまで来てんの!?
まさかとは思ったけどそのまさかなんですか!?

私はそっとカーテンを閉めて外と内を遮断した。
帰るまであと二時間近くあるし。
流石に待ち疲れて帰ってくれるはず。

私はホッと胸を撫で下ろし、大丈夫だ絶対にと自分に言い聞かせ、また退屈な授業に耳を傾けた。
















「それで、何故ここにいるんです」
「いやーほんとはね、君と目が合うちょっと前から学校には来ててさ。流石にまだ授業終わらないよなーって思って一度帰ろうと思ったんだけどなまえと目が合ったから帰る気がしなくなってさ!ははっ、今日も幸せだよ!」
「私、今日の星座占い2位でした。思わぬ出会いがあるかもって」
「へぇ〜。じゃあ俺がその運命の相手ってわけか」
「誰も運命とか言ってませんし。でもたしかに、思わぬ出会いですね。テンションガタ落ちです」
「二人で一緒に花見に行こ?」
「一人で行ってください」

そう言うと少しの間沈黙になった。何故。

周りの生徒達がチラチラこちらを見てくる。
その中には私の友達もいて、正直今めちゃくちゃ焦ってます。
ついでに言うと、前にいる人フリーズしちゃったし。
どうするべきか。

答えは一択だった。



逃 げ る



「じゃあさようなら!」

全速力で道を走り抜ける私。
池袋駅までここから近いとは言えないけどとにかくダッシュするしかない。

あの人が追い掛けて来てるかどうか気になってちらっと見てみると、後ろにはいなかった。
どうやら助かったみたい。


スピードを徐々に落としてゆっくりと歩き始めたところで気が付いたことがある。
道路沿いにあるガードレールの上を歩く人がいることに。
それは言うまでもなくあの人だった。

「……えっ、こわっ」

純粋にそう思った。折原さんなにこの人凄い。びっくり。

後ろにはいなかったけど、横にはいたよ。

本当は何でそんなとこ乗って歩いてきてんですかとか、どうして追い掛けて来るんですかとか他にもまだまだツッコミたいところは沢山あるのに、それ以上に今は驚きが大きい。
無意識のうちに彼を見詰めてしまっていた。
すると彼もこちらの視線に気付いたのか、私の方へ目を向ける。

「こうやって見てるとさ、君はやっぱ俺のお嫁さんにしか見えないよねぇ」
「どうやって見たらそうなるんですか」
「ガードレールの上からだよ」
「なら早くそのガードレールから降りた方がいいと思います」
「普通に地面を歩いててもそうにしか見えないんだよね」
「目やばくないですか、それ」
「すごく現実的でいい目だと思ってるよ。目には真実しか映らないって」

だめだ、やっぱ折原さんには何を言っても通じない。

「そう言えばさ、なんで今日セーラーなの?」
「ブレザーとかその他諸々クリーニングに出したんです。だから代わりに中学の時着てたの引っ張り出し「可愛いよほんとうに愛してる!」

路上で抱き着かれた。
変に嫌がるとエスカレートするってことは分かってるし、もう変な意味で慣れてしまった。慣れって怖い。
まぁ60階通りで抱き着かれるよりは何百倍もマシですけどね。こっちならあっちに比べれば人はあんまりいないですし。

「ブレザーだけじゃなくてセーラーもやっぱり似合うね。さっすが俺の想像力。大当たりだ」
「…呆れて物が言えないです」
「呆れるほど冴えてる俺の想像力ってわけか」
「……………」

私が黙りこくると、同じタイミングで同じようにして折原さんも黙りこんで何かを考え始めた。



(ナース、いやセーラーも捨てがたいな)



「え、折原さん。え、は?え?今なんて?」
「結局、なまえならなんでも可愛いってこと。てか何で折原さんなの?臨也さんだったじゃん」
「少し距離を置いてみました」
「それでも君を愛してる!」
「(もうちょっと距離置かなくちゃ…)」





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