※このシリーズは臨也が変態です。閲覧注意してください。















こっち見ないでください!
満面の笑みで手を振らないでください!
私、あなたとは他人ですから!!

「ただいまー…って言っても、今は誰もいないんだっけ」

学校から帰宅した私は家の玄関の扉を開けてそんな独り言を呟きながら靴を脱いだ。

両親共々仕事の都合上、今は家にいない。
ここ何日間空けているのだ。
三日ぶりの一人だけの空間。
今日はゆっくりできそうだ。一昨日、昨日と2日連続で無駄に賑やかな時間を過ごしたものだから疲れがたまってたわけですし。
それでもやっぱり一人は少しだけ寂しくて、人肌が恋しい。

(あれ…?そう言えば私朝ちゃんと鍵閉めて行ったよね…?)

嫌な予感がする。
どっかの誰かさんのせいで警戒心が強くなった私は戸締まりを怠らなくなった、はず…
それなのに鍵も使わずすんなりと家の中に入ることができたのは何故だろう…

それはもちろん鍵が開いていたからなのだが…

空き巣?
その可能性もある。
もしや「あの人」?
それも考えられなくはないが、あの人なら家には勝手に入れないだろうし、例え入っていたのだとしたら玄関にあるはずの靴は無く、此処には私の靴しか置いていない。

(誰だろう…)

鞄で身構えつつ恐る恐る扉を開け部屋に入るとそこには「お帰りー。なまえの帰り、ずっと待ってたよー」…あなたですか。

「どうやって入って来ました」
「イヤだなぁ、そんな怖い顔しないでよ。いや、君のそう言う顔も大好きだけどね?」
「的外れなご回答ありがとうございます。どうやって入って来ました」
「まぁそう焦らない焦らない。合鍵だよ、合鍵」

それしかないよね…分かってはいたんだ、分かっては。
ゆらゆらと見覚えのある形の鍵を私の目の前で揺らす彼にため息しか出なかった。

「いつ作ったんですか」
「つい先日。ほんとは俺の誕生日プレゼントととして貰いたかったんだけどね、なまえから。でも俺の誕生日はまだ先だから待ちきれなくてさ」
「……一応両親には内緒にしておきますけど、家に来るなら来るで時と場合を考えてくださいね」
「あー、大丈夫大丈夫。君のご家族とは裏で話つけてるから。そうそう、俺だけがなまえの家の合鍵持ってるなんて狡いだろ?だから、はい。俺のマンションの合鍵」
「全然狡いとか思ってませんし。そもそもその合鍵持ってても私使う機会無いですから」
「いやいや、将来的にだよ」

わけ分からんこの人。
ていうか親と話つけたって何!?
いつの間に!?
聞きたいことは山程あるがどうせ教えてくれそうもないし、聞かない方が私にとっていいだろう。
正に聞かぬが仏って感じなんだね、この人と親との会話。

それから両親のこととの件には触れず、今までどうしていたのかと彼に尋ねると、勝手にソファーに座って(それもかなり礼儀正しく)今か今かと私の帰りを待っていたらしい。

「あの、履いてきた靴はどこへやったんですか」
「この鞄の中。いやぁ、玄関で脱いで置いておくのもいいかな〜と思ったんだけどさぁ、それじゃなまえが家に帰って来たときに俺が来てるって分かって驚き半減でしょ?」
「靴見ただけであなただって分かっちゃうほど私はあなたを見てません」
「一生懸命照れ隠ししてるなまえも可愛いよ」
「毎日が幸せそうですね」
「なまえに会えただけで、なまえの声を聞くだけで俺は幸せだよ」
「そう言う意味で言ったわけじゃないんですけど…」

あぁ、この分には私も早く彼氏とか作って護衛でもしてもらおうか…
できればの話ですけど。

「なまえの彼氏は俺で十分」
「あなたエスパーですか!?」
「なまえのことなら何でも知ってる素敵で無敵な情報屋さんですから」
「はぁ…何か飲みます?」
「何でもいいよ。今日は追い返さないんだ?」
「帰ってって言ったところで帰ってくれそうにないですし、それにちょっと人肌が恋しかったのでお話くらいは」
「よし、じゃあ今日はなまえとの長話を楽しもう。俺となまえの将来設計とか立ててみない?」

ソファーの背凭れに手を乗せて寛ぎ、顔だけをこちらに向けてとんでもないことをさらりと口にする彼に思わず手の動きを止めてしまった。
せっかくの紅茶が溢れそうになる。

「変なこと言わないでください!」
「そう?俺結構考えてるんだけど。我ながらまともな未来予想図だよ。話しくらいは聞いてみない?」
「……やめておきます」

紅茶を淹れたティーカップを彼に渡しながら私はそう言った。

「あ、紅茶熱いので気を付けてくださいね」

思いっきり湯気とか出てるから、熱いなんてことぐらい分かってはいるだろうけど、火傷とかはしてもらいたくないので念のためそう言うと、「心配してくれてるの?ありがとう」と返してきたものだから、ここは苦笑して軽く誤魔化しておこう。

立ったままではあれなので、私もソファーに座ることにした。
必然的に彼の隣に座ることとなるのだが、微妙な距離が開いている。
いや、意図的に私が開けた。

「なんかさぁ、いざこうやって隣に並ぶと凄く襲いたくなるんだよね…何でだろう」
「私話くらいならとは言いましたけどそれ以上のことは絶対しませんからね」
「スカートの裾から覗く太股、たまらないなぁ。凄くそそられる」
「あのー…聞いてます?」
「聞いてるよ」
「あんまり見ないでくださいよ」
「あーもう可愛いなぁ!なまえは本当に可愛いよ!食べちゃいたい」
「は?」

突然抱き着いてきた彼は私の耳を甘噛みし、右手は太股をなぞるようにして滑らせる。

ぞわっと身の毛が弥立つような感覚に襲われ、徐々に抵抗しようとする私の腕から力が抜けていった。ヤバいかも。

「もし俺が食べちゃうぞって言ったらなまえはどうする?」
「全力で阻止します!」
「はは、力じゃ俺には敵わないよ?」
「多分、大丈夫…です、よ…」

自信無さげなか細い声でそう返すと、また彼は笑って私を優しく抱き締めた。



(食べちゃうぞが冗談に聞こえません)



「このまま押し倒してめちゃくちゃにしちゃいたい」
「全力で阻止します!」





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