※このシリーズは臨也が変態です。閲覧注意してください。















こっち見ないでください!
満面の笑みで手を振らないでください!
私、あなたとは他人ですから!!

「…というわけでね、波江。今日もなまえをお持ち帰りしてきたよ」
「あなた、嫌がられてるわよその子に」
「知ってるよそれくらい」
「じゃあ何でこんなべたべたくっついてくるんですか」
「愛してるからだよ」

ふざけてんのかなこの人?
普通好きな女の子の嫌がることするか?
しかも愛してるからだよって超即答だったよ。

「あは、その顔、普通好きな女の子の嫌がることするかって顔してる」
「えぇ、まぁ」
「君の意思とか関係ないから。俺が愛してるからこうやって一緒にいるの。最近フォルダに入ってるなまえの画像だけじゃ物足りなくなってきてね」
「え!?ちょ、は!?」
「パソコンにも入れてるんだけどさ〜。それでもやっぱり物足りないんだよね〜。やっぱり実物のなまえが一番だ」

そう言って笑いながら彼はパソコンの電源を入れてはあるフォルダを開いた。
つかその前に一つつっこむべきところがある。
彼が開いたそのフォルダの名前が「おれの」なのだ。
嫌な予感しかしないのだが…

「あの、まさか私の写真が入ってるフォルダってこれですか?」
「そうだけど。それがどうかした?」
「おれのって……。誰があなたのものですか。あの、そのフォルダごと削除してください。私の写真」
「別にいいけど」

なんだ、意外とあっさりOKしてくれるじゃん。
そしてマウスに手を乗せて私はフォルダを削除した。

「これで一安心ですね」
「あなた、こいつがこんなにあっさり身を引くと思うの?」
「へ?」
「実は君の知らないところに隠してあるUSBがあるんだけどね?その中にさっきのフォルダに入ってたデータとまるっきり同じものが入ってるんだ。あぁ、大丈夫大丈夫。君の画像も情報も、ネットに流したりとか他者に流したりなんてしないから」
「そう言う問題じゃありません」
「なまえのことなんて俺だけが知ってればいい。なまえ自身が知らないなまえのことだって俺は知ってるしね」
「それは気になりますね」
「じゃあ教えてあげるよ。なまえ相手だから特別に情報料はタダにしてあげる」
「情報料取られるなら聞きませんし。どうせ大したことじゃなさそうですしね。気になりますけど」

そう言うと彼は「大したことじゃないと思う?」と私に聞き返す。
「はい」「へぇ、じゃあ君はもしかしたら気が付いているのかもしれないね」「何をですか?」テンポ良く続く言葉のラリーはこの後の彼の一言で終わった。

「君が俺を愛してるってことだよ」

……どうしてそうなるんですか?

そんなことありませんよ!って怒るより、そちらの方が私にとっては重要だった。

「どうしてかって?そうだなぁ、俺が君を愛してるから」
「は?」
「俺が君を愛してるから」
「リピートしなくていいです。そうじゃなくて…はぁ、もういいやめんどくさい」
「そこで負けを認めると後々更に面倒なことになるわよ」
「今更って感じです」
「…あら、この子本気で窶れてるのね」

随分と辛辣なことを平然と吐き捨てる波江を他所に、臨也はおもちゃで遊ぶ子供のように無邪気に微笑んでいる。

「あら、電話だわ」

波江の鞄から着信を告げるバイブ音が鳴り響いた。
取り出してみては、誰からの着信かと確認してみると…それはこの世でたった一人の愛する弟からの電話。
そうであるということは、彼女の表情からも窺える。

「誠二じゃない、どうしたの?…えぇ…えぇ、分かったわ。今から行ってくるわね。じゃあね、誠二」

ピッと通話を切り、波江は手際よく作業を始めた。
帰りの支度でもしているのだろうか。

「私、今から帰るわ。大事な用事が出来たの。給料は下げようが下げまいがどちらでもいいから、貴方の好きにして頂戴」
「はいはい」
「なら私も帰ります」
「君は帰さないから」
「随分な執着ね。貴方も気を付けた方がいいわよ」

そう言い残し、軽く足早に彼女はこの一室から出て行った。

私も帰りたい…
そう思ってもこの状況では帰ることは不可能だ。
何せこの人が後ろから抱き着いてくるものだから。
しかもがっちりと密着している。

「ねぇ、泊まってく?君の両親仕事で三日は家を開けるんでしょ?俺、さっきなまえが友だちと話してたの聞いてたよ」
「え、そんな話をしてた時からあなた私のこと見てたんですか」
「そんなことどうだっていいじゃないか。で、どうする?」
「答えるまでもありません。もちろん」
「泊まりだね」
「いやいや、死んでも泊まりません」
「じゃあ俺が君の家に泊まりに行く。これでいい?」
「あなたが居るから駄目なんです」
「冷たいなぁ…君と俺との仲じゃないか。今夜くらい何もかも包み隠さず一緒に「やめてください」

制服のワイシャツの中に入ってきた手を阻止すると、またがっちりと抱き締められた。

こんな人だからこそ泊まるなんて出来ないんですよ、全く。

「なら今から一緒に風呂入らない?そろそろ七時になるしちょうどいいじゃん。それに体にタオル巻くくらいなら許してあげるから」
「タオル巻くくらいならって当たり前じゃないですか。それ以前に一緒になんて入りません。着替えだって持ってきてませんし」
「それがさ、こんなこともあろうかと思って前もって波江に買ってきてもらってたんだよね」
「何を…ですか…」

本当は、分かっているんだ。
何の話かなんて分かりきっている。

「これだよこれ。ネグリジェ!」
「サイズが違うかもしれないじゃないですか」
「君のスリーサイズくらいは把握できてるからね。服のサイズなんて君を見れば大体分かるし」
「スリーサイズって…そんなどこで…!?それと、それ着ませんから!」
「俺は情報屋だよ?あぁ、君が着なくても俺が無理矢理にでも着させるから安心して」
「安心させる気ないじゃないですか」
「風呂から上がったらベッドに直行かな?」
「私の話聞いてます?」
「そしたら少し遅いけどどっかに夕食食べに行こっか」
「無視ですか?」
「なまえ愛してる」

全く話しは噛み合っていない。

愛してるとか言って私の体を半回転させ今度は前からぎゅっとキツく抱き締められた。



(くっつかないでください移ります変態が)



「君の胸、凄く感触いいよね」
「うわ最低…」
「ごめんごめん。心の中だけに留めておくべきだったかな」





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