空を見上げた。
星がとても綺麗に見える。
正直このセレス国ではそれはいつものことなのだが、ファイと久し振りに会えたから、余計に綺麗に見えたのかもしれない。
国で問題が起きて、それを鎮圧しにファイは城を何日間か開けたから、すごく寂しくて、それでもそんな素振りを見せないように普段通り彼に接していた。
「なまえはさー、オレがいなかった間寂しくなかったのー?」
「全然。アシュラ王だってチィだって兵隊さんだっていたから寂しくなんてなかったよ」
「えー、それはちょっと妬けるかも、オレ」
「何で?」
「だって、オレの知らないところで色んな男となまえがしゃべってると思うとなんかさー」
ファイがこちらを見てきて、私はちょっとドキッとした。
あんまり、そういうこと言わないで、なんて言うと彼に「ん?どうして?」と優しい口調で問われたから、「そんなこと言われるとちょっと照れるよ」と返した。
「でも、嬉しいな。そう言ってくれると」
「だからってもっと他の男と仲良くするーとか言い出さないでよー」
「しないよ、私が好きなのは…ファイ一人…だか、ら」
カーっと顔が赤くなっていくのがよくわかる。
凄く暑くなってきた。
さっきまで寒かったのが嘘みたいに。
「はは、かわいー」
人差し指でツンツンと頬をつつかれた。
「これだからなまえのこと、ちょっとイジメたくなっちゃうんだよー」
頬に手を置かれ、強制的にファイの方を向かされる。
赤くなった顔を見せたくなかったからわざと顔を見られないようにしてたのに。
「大好きだよ、なまえのこと。誰よりも」
優しく、触れるだけのキスを落とした。
私の頬に触れてる彼の右手が暖かい。
気付けば、いつの間にかファイは私の背中に腕を回していて、私の腰をぐっと自分の方に引き寄せた。
「ファイもあんまり他の女の子と仲良くしないでね…?」
「なまえにそんなこと言われたら仲良くなんて出来ないよー」
そう言って、私の髪を優しく鋤いてくれる彼が愛しい。
手を繋ぎたい。
そう思ったけれど、恥ずかしくてとてもじゃないけど握れない。
すると、ファイが私の手に自らの手を重ねた。
えっ…とちょっと驚き彼の横顔を見ると暖かい笑みを溢していた。
「ごめん、嫌だった?」
「ううん、違うの。だ、だって私から手なんて恥ずかしくて握りたくても握れないから…」
「そういう照れ屋さんなところも大好きだよー」
はは、と笑い彼は指を私のそれに絡める。
勇気を出して、ちょっとだけ力を込めてぎゅっと握り返してみた。
「ごめんね、これくらいしか出来なくて」
「握り返してくれるだけでも嬉しいよ」
ファイは、額にまた一つキスを落とした。
手を繋ぐのに必要な言葉と労力は
「誰よりも世界で一番大好きだよ」
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今回は連載ヒロインじゃないです。
もうファイ夢で甘いのを書いたのは久し振り過ぎます。
いやほらだって長編がもう…
だからたまには甘いのもいいよなぁと思いながら書いてました!
では、リクエストありがとうございました!