∵ 大変だ、俺の部下が壊れた
「ねぇ臨也さん」
「何さ。5つじゃお土産まだ足りない?じゃあ生牡蠣ホタテサザエあわ…」
「そうじゃなくて」
「なに?俺がいなくて寂しい?」
「はい。すっごく寂しいです」
「えっ、」
「なんですか?」
「いや、まさかそんな率直に言ってくると思わなかったからさ。意外だと思っただけだよ」
「私いつも思ってますよ〜、臨也さんいないと寂しいなぁ〜って」
「…………」
「このままずっと臨也さんとお話できたらなぁってー。思いますー」
「やっぱ君今日おかしいよ、どうしたのほんとうに」
「臨也さん。早く帰ってきて」
いつもと違う彼女を少し疑いつつも、ちょっと可愛いかもしれないと思ったのはここだけの話だ。
「(これはからかい甲斐があるかもな…)悪いけど、まだあと1週間は帰れないと思うよ」
「いやですいやです!今すぐ会いたい!臨也さーん!寂しい…」
「(………やけに反応がいいなぁ)」
「あっ、舞流ちゃん返してー!私の携帯ー!」
「え?なに?舞流?」
「久しぶりイザ兄!」
「なんで舞流?」
「そんなのどーでもいいのっ!そんなことより、今日酔わせちゃった」
「誰を?…いや、聞かなくても分かるんだけどさ。ふざけんな」
「ちょっと舞い上がっちゃったりした?嬉しかった?あんなに正直に言われて」
「そうじゃない。とにかく早く元に戻せ」
「嘘つき。ほんとうは超超超ー嬉しいくせに!一人でハイテンションなくせに!それに、元に戻せなんて無理だよそんなの。かなり飲んでるもん」
「お前……」
「でもイザ兄がいなくて寂しがってたのはちょっぴり本当だよー。ちょっぴりだけど」
「…あっそ。酔いが覚めたら伝えといて、すぐに戻るからって」
「なんだ、やっぱ嬉しかったんじゃん」
「今日はもう遅いんだからうちに泊まってけ。面倒なことになったらこっちが迷惑だからさ」
「素直じゃないなー」
「俺は自分の気持ちに対してかなり素直だよ」
確かに、彼女が酔ってるんだと確信を持った時はかなり落胆したような気もしなくもなかったし。
彼女より、むしろ俺の方が早く彼女に会いたくなってしまっていた。
(拍手ありがとうございました)
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