イベリス





「アイスメイク、」


呟きながら、グレイは見事な程綺麗な氷のオブジェを造り出した。
わぁ、とまわりから感嘆の声が広がる。


「やるじゃない!グレイ」

「グレイ様、流石です!」


ルーシィとジュビアは、目をきらきらさせながらそのオブジェに近寄った。
得意気な表情でにっこり笑いながら、そうか?と、誉められる快感に浸っていた時だった。


「…綺麗だ」


ぽつりと呟いた愛しい声に、グレイは自分の顔に熱が上がるのを感じた。
振り向くと、其処にはやはり予想していた人物で。
嬉しくて、思わず顔が綻んだ。


「いや!やっぱ、グレイの方が綺麗だわ」

「な…っ、!」


平然とした表情で、恥ずかしいことをみんなの前で言うナツに、オレは更に顔を真っ赤にした。


「ばかなつ!…さらっと恥ずかしいこと言うな!」

「いてっ!何が恥ずかしいんだよ。本当のことだろー」


ぱしっ、と軽く頭を叩くとナツは楽しそうに、オレをぎゅっと抱き締めた。


「てめぇは存在が恥ずかしいんだよ!」

「はぁあ!?どういう意味だ、それ!」


氷のオブジェなんかより、ずっとずっと心をひきつける者が、オレにはいる。
──大好きな、そいつが。




















イベリス

(心をひきつける)






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