連翹
※夫婦パロ。子供いますが女体ではありません。
「うお、ちっちぇ」
桜色の髪が、同じく桜色の髪をした小さな我が子を、そっと抱き上げて呟いた。
その隣に座って、まだ少ない桜色の髪を優しく撫でてやりながら、グレイが微笑む。
「こいつ髪はナツ似だな」
「見ろよ、目元なんかグレイそっくりだ!」
顔を見合わせて、にっこり微笑む。
二人はもうまさに、幸せの絶頂だった。
ふと、ナツが思ったことを口にする。
「そーいや、まだ名前決めてなかったよな」
「おー、そうだった」
ポン、と手を鳴らしてグレイが頷く。
ナツから子供を受け取り、じっと顔を見つめる。
…うん、垂れ目。オレだ。
そうだな、どんなんがいいかなー、なんて隣でぶつぶつ呟くナツを見つめながら、名前の候補が出るのを待つ。
「あ、これはどうだグレイ」
「お、なに?」
「ナツジュニア」
「死んでしまえ」
「グレイジュニアがいいのか?」
「そういう意味じゃねぇ!」
「じゃあ、ナツグレとか」
「…それ確か、ルーシィが書いてた小説のタイトルだよな」
何の小説書いてるのか聞いても、教えてくれなかったから、内容はよくわかんねーけど。
…それにしてもこいつ、ネーミングセンス無さすぎだ…!
「ナツ、だからアキとか」
「単純だな」
「イグニール」
「それ、違うだろ」
「リオン」
「やめろ」
「あーっ!わかんねぇ!」
「まともなの出せよ!」
額に手を当てて、呆れたように溜め息を吐くグレイに、ナツはムッと顔をしかめた。
「──hope、ってのは?」
ふいに、ぼそりと呟いたグレイに、ナツは顔を上げた。
「…ほーぷ?」
「あぁ。“希望”って意味があるんだぜ」
「ホープか。綺麗な名前だな…」
「そうだろ?こいつはオレ達の希望だから」
腕の中で眠る小さな桜色を、愛おしそうにぎゅっと抱き締めながら、グレイが呟いた。
「へへ、そーだな!よろしくな、ホープ!」
言いながら、グレイの腕の中で眠るホープの額に口付ける。
顔をあげると、ムッとしたグレイのしかめっ面と目があって。
嫉妬かと問えば、おもしろいくらい顔を真っ赤にしたグレイが、あまりにも可愛くてそのまま目の前の唇に軽く口付けてやった。
連翹 -レンギョウ-
(希望)
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