遠回し







先程から、他の奴らと楽しそうに話しながら、無邪気に笑顔を振り撒くグレイ。
うわ、やっべー超可愛い。
キスしてぇ。抱き締めてぇ。
彼に想いを寄せているオレは、そんなことを考えながら、無意識にガン見していたらしい。
オレの視線に気付いたグレイが、顔をしかめて此方を睨んできた。


「何見てんだよ、やんのか」


別にそんなんじゃねーよ、
言いながら呆れたように溜め息を吐けば、グレイは不思議そうに首を傾げた。
じゃあ何だよと言われ、見とれてた、なんて言えるはずもなく。


「見てただけだよ。お前の目、キレーだから好きだ」

「ふぅん、変なやつ」


…あー、何で気付かないんだろうな。
虚しい。相当虚しい。
今の、しれっと告白入れてたのに。
入れてたのにぃぃいいい!
……ダメだ。
こいつの場合、鈍感だからストレートに言わないと、全然伝わらないんだ。
この際だ。
もう告白してしまおう。


「グレイ!」

「あ?」


グレイの腕を無理やり引っ張って外へ連れ出すと、向き直って肩をがっしり掴む。
グレイは頭の上に、大量の疑問符を浮かべて首を傾げた。


「お前、もう他の男としゃべるな」

「はぁあ?何でだよ」

「ムカつくから」


よし、言った…!
ゆっくり顔を上げてグレイの表情を確認すれば、何故だか先程よりかなり顔をしかめている。
不思議そうに顔を覗き込むオレに、グレイは眉間にしわを寄せて怒鳴り付けた。


「無理に決まってんだろ!この世界に何人男がいると思ってんだ!お前としか話せねぇとかやってけねーよ」


え、おい、ちょ、なんそれ。
グレイのばっかやろぉぉお!
何で、何でわっかんねんだよ!
今のどう考えても、告白だろーが!グレイのアホ!
ここまでくると、鈍感どころかもうただの馬鹿だぞ。
馬鹿!ばかグレイ!


「…はぁ」

「何かお前…さっきから変だぞ?」


額を抱えて溜め息をつけば、再度不思議そうに首を傾げるグレイ。


「何でもねぇよ、今のは忘れてくれ」


苦笑いしながらそう言い、ぽんっと頭を撫でてやるとグレイは納得がいかないような表情で、オレの服を掴んだ。


「ナツ、……すきだ」

「あーうん、わかったから……って、はぁあ!?」


思いがけない言葉に、思わず振り返ってしまった。


「え、グレイ…今のなん…!」

「こう言って欲しかった」

「へ?」


無意識に出た間抜けな声。
意味がわからず、首を傾げる。


「だからお前、いつも遠回しに言い過ぎなんだよ!」


呆れたように目を反らしたグレイの頬は赤みを帯びていて。
いや、でも…ということは、まさか…。


「…オレの告白に気付いてた?」

「あぁ。ただ、お前がなかなかストレートに言ってこないから、気付かないふりしてただけだ」

「えええええええ!!」


思わず口から勢いよく炎を噴射すると、グレイは氷で小さなシールドをオレと自分の間に作っていた。
ハッとして我に帰る。
そして、やることはただひとつ。


「ぐ、グレイ…!」


ガシッとグレイの肩を掴んで一言。


「す、好きだ…!」


そう言って勢いよく唇に口付けると、グレイはこれ以上にないくらい顔を真っ赤にした。




















遠回し

(ちゃんと“好き”って言って欲しくて)









[ 15/21 ]




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -