「俺、聞いてたんだ」
所謂バックアップってやつ? 怜花にも、雄一郎にも言ってないって。アイツの計画も、思考も、すべて聞いていた。 もちろんそれなりに危険も伴うって。アイツはなんも言わなかったけど、そんなこと最初からわかっていた。 アイツは俺を信用していた。 俺も、アイツを信用していた。 親友だった。
「アイツの制服の裾に盗聴器、しかけてたんだ」
アイツの、声にならない助けを聞いても、俺は。
「なあ、アイツ最後まで口割らなかっただろ?だってそうゆうやつなんだよ、馬鹿みてえ」
ハハハ、と乾いた笑みをこぼす。 目の前にいる蓮実聖司は猟銃を構えなおした。 運の悪い男子生徒は虐殺に巻き込まれて、ほかの生徒とともに死亡。生徒名は2年2組河津和季・・・ってか。 シャレになんねえな。バックアップがのこのこ犯人の目の前にネタバラシしにいくだなんて。 真っ赤に染まった教室の中心で、いまだ行方不明のままである友人の早水圭介を想う。
「・・・いいのか?圭介みたいに穴だらけにして、拷問して、ほかに知る奴がいないのか聞きださなくても。」
失敗に終わったから、俺が生きているんだろう? 失敗だなんて、笑えるなハスミン。
「・・・はは、泣きながら言われてもな。強がっているようにしか聞こえないぞ?Mr.河津」
とめどなく流れ落ちていく涙。 ガタガタいって震えが止まらない。平和の中で生まれ育った男子高校生が平常心でいられる方が珍しいってんだ。 圭介も、こんだけ怖かったのかな。しかもあいつ痛い思いもしたんだろ、うわ最悪。 いっそのこと一思いに殺してくれ、ってな。
「・・・なあ、殺せよ。早く、殺せって」
足がすくんで、立つことさえままならない。 そのばにしゃがみこむ。涙が止まらない。怒りが、恐怖が、ああ俺をむしばんでいく。
くそ、くそ、なんで、なんで俺は、なんでっ、蓮実、ちくしょ・・・蓮実聖司・・・蓮実、はすみ、はすみはすみはすみはす
「ばーん」
衝撃、だけ。あとは無。 最後くらいは、好きな奴のこと考えていたかったのに。 あーあ。地縛霊になりそう。笑顔の蓮実を最後にプツン、すべてが無へ還った。
END
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