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「どうなんだそれ?結局は恋にうつつを抜かしてた織り姫と彦星が悪いって話だろ」
「また…そんな情緒のないことを……」

 空に浮かぶゼノお手製の見事な天の川を眺めながら、隣でぶつくさと文句を言うユエに呆れて息を吐く。確かにユエの言うとおり、仕事を疎かにして逢瀬を楽しんでいた織り姫と彦星の自業自得と言われてしまえばその通りではあるのだけれど、恋とはそういうものだからまた厄介なのではないかと思うのだ。年に一度だけ逢う事を許された二人は、一体どんな気持ちで日々を過ごしていたんだろう。もし私だったら……。そこまで考えてそれが全くあり得ない話ではないことに身震いをした。年に一度許されるのだけ、まだいい。もう二度と逢えないと定められた二人に希望はあるのだろうか。……ユエと離れなければならなくなった時、私は一体どんな顔をして、一体どんな別れの言葉を口にするんだろう。

「俺様だったら他に文句を言わせねえくらい完璧にやってやる。守護聖としての役割も、お前も、絶対に離さねえし、ましてや情け掛けてもらって年に一回だけ会わせてもらうなんてありえねえ!そんなの首座の名が聞いて呆れるぜ」
「ユエ……」
「お前だってそうだろ?女王候補としてだらしない事はしないって。この試験、やりきるんだろ」

 星空みたいな瞳がきらきら輝く。
 ユエの言うとおりだ。私はやりきらなくちゃいけない。試験も、そしてユエの事だって諦めるわけにはいかないから。

「そうだね、ちゃんとやらないといけないね」
「ああ、それでこそ女王候補だ」

 織り姫と彦星には悪いけれど、年に一度だけの逢瀬で我慢出来るほど私たちは辛抱強くはないから。
 流れていく星の海を見上げる。空に浮かぶ数多の人工の星達は、その輝きを失うことなくただ静かにそこで煌めいていた。