言うなれば、それは運命の出会いのようで。
運命は時に残酷というけれど、俺にとってこの出会いは残酷だなんてそんなことはない、例え残酷だったとしたって、この残酷はたった一つお前と繋がるための手段なのである。


「ほんま、お前が兄さんだなんて信じられんわ」

ベッドの上、となりで死体のように転がる義兄に冷ややかな視線を送る。
義兄の白く柔らかなお腹の上に散らばる白濁液が横腹を伝って布団の上へ流れ落ちていくのを直前でせき止めるように掬い上げると、まだ温かいそれをアオの、先ほどの行為で飲み込むものをすっかり失い伸縮を繰り返す尻の穴へと多少乱暴にねじ込んだ。
ビクン、と大げさに反応するアオの身体に少し笑う。突っ込んだ穴の中で、自身が彼の中へ吐き出した白濁液とアオの白濁液が混ざりあいぐちゅぐちゅと卑猥な水音が部屋に響く。イったばかりで身体が敏感になっているのであろうアオは執拗に攻め立てる俺の指の動きを止めようと目に涙を浮かべながら手首を掴むも、その手に力は入らない。
そのままただ無表情に中の精子を思う存分かき混ぜるだけかき混ぜるていると、俺の動きを止めることを諦めたであろうアオは体を脱力し泣きながら喘ぐ。先ほど絶頂を迎えたばかりだというのに、もうアオのちんこは張りを戻しつつある。元気な奴、と嘲るように笑うも彼の身体がこう反応するように中学からじっくりと調教してきたのは自分なのである。そんな彼の厭らしい身体に合わせるように自分の身体も変わっていっていることに気が付いたのは阿呆らしいけれど最近のことだ。アオのちんこが張りを取り戻し立ち上がっていくのとほぼ同じくらい自身のものも元気を取り戻していった。
調教しているつもりが、自分が振り回されている。気が付けばそんな状況に陥っていたのだった。

「あー。ほんまに」

むかつく奴やな。
口の中で呟く言葉にびくりと反応するアオの身体。こういうビビりなところもまたむかつく。
もし彼が男でなければ。もし彼が義兄でなければ。もし彼が家族ではなければ。
混ざりあう精子が虚しく尻穴からどろりと垂れ流れる。今までに死んで来た幾千幾万の精子たちを思うと虚しいどころの話ではない。この行為が生み出すものは何一つとしてない、実に非生産的なものだった。

「あんたは、俺の義兄さんでよかったなあ」

不幸中の幸いってやつや。垂れる精子を掬い上げた。

「女やったら孕むまで突いてやれるんやけどなあ」

俺に似たらかわええ子が産まれるで。掬い上げた精子を、アオの精子が散らばるアオの腹の上に伸ばしていく。その下にはない子宮のことを感じ、出来るはずのない子供の顔を思い浮かべながら死んでいった精子をまっすぐに伸ばしていくのだ。

「運命って残酷やなあ」

アオは何も言わない。何も言わないまま、俺の手を自身の手のひらで包み込む。熱を持つ手のひらは温かい。何も言わないアオのお腹はただ熱く脈を打っていた。

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