log | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

ふたりぼっち


春の日差しが空から降りかかる。
太陽は真上に、風は柔らかく頬をなでた。

「沖田さん」

縁側に腰をかけて、どこか遠くを眺める沖田総司の姿を見つけ、声をかける。
沖田さんはこっちを見ようともせずに、時折出る咳を手のひらから零した。

「ごほ・・・、どうしたのアオくん」

まるで、俺が話しかけるのをずっと躊躇っていたのをわかっているように、
見透かしたように沖田さんは口を開く。

「・・・、隣、いいですか?」

「珍しいね、いいよ。座りな」

いつもなら、さっさと部屋に戻ってください、とかつれないこと言うのにね。
隣に腰を下ろした俺にそう笑って言う沖田さんの顔はどこか儚げで消えてしまいそうだった。

「今日は・・・特別です」

そう言って、スウと目を細める。
いつもと変わらない声音。いつもと変わらず出てくる咳。いつもと変わらない、日々。
なんだか、とてつもなく寂しい気持ちとなった。

「なんだかさ、僕だけ別の世界で一人っきりみたいだ」

空を仰ぐ沖田さんの表情は見えない。
だけど、なんとなく。なんとなくだけれども、助けを求められているような気がした。

「一人じゃないです」

「アオくん」

「一人になんかさせません。俺が、一緒にいます」

だからそんな顔しないで。
翡翠色の瞳を見つめる。ああ、だってこんなにもこの人は、綺麗だ。

「それじゃあ二人だけだよ」

そう言って、少し口元に笑みを浮かべる沖田さんに俺も釣られて笑う。

「いいじゃないですか、二人だけだって」

だって、一人じゃない。
それとも、沖田さんは俺だけじゃ不満?
挑戦的に浮かべた笑みに、沖田さんは目を丸くして、今度こそ声を出して笑った。


(まさか)
きみとなら、どこまでもいける気がした