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ブラコン1


!白石さん中学1年生設定
!兄弟設定




「っ!!!!」

「?」

11月の中盤。寒さが染みる一日だった。
暖房の効いたリビングを上裸で歩き回っているところを目撃されたことに気が付いたのは微かに息をのむ音がきこえてきたからで。
ほかほかと風呂上がりの温まった身体が熱くって、冷まそうと冷えた牛乳を喉に流し込むところだった。


「蔵か、おかえり。・・・どないした?」

「た、ただいま・・・」

なんでもないねん、別に興奮とかしてへん。
顔を真っ赤に染めて視線を逸らす蔵ノ介の姿にハテナを飛ばす。
てか、興奮とか何わけわかんないことを言っているのか。入ってきたまま、扉の前で動かない蔵に湯冷めするから早く戸閉めろ、と声を投げる。
暖房が逃げるし、玄関はさすがに空気が冷たいから流れ込んでくる空気は上裸には少々厳しい。
は、っとしていそいそ扉を閉めて、マフラーだとかの防寒グッズを外す蔵ノ介に手洗ってこいと顎を使った。いつもなら少しだけ嫌な顔をして、もうガキやないんやから。と文句をたれながら洗いに行くはずなのに今日は違った。
まともに目を合わせようともせず、ん。と一言つぶやくように返事をして洗面台へ向かっていったのだ。・・・おかしい。今日の蔵はなにかがおかしい。

「・・・」

いや、まてよ。そういえば朝もなんとなくだけれど、様子がおかしかった。
今日は珍しく起きてこなかったから朝練遅刻するぞ、とわざわざ部屋まで行ってゆすり起こせば、目を開けた瞬間これまた顔を真っ赤に染めて焦ったようにおはよ、と一言挨拶し、俺を残してリビングへ向かっていってしまった。
・・・いや、今日に限ったことじゃない。一昨日だって、その前だって考えてみればおかしかったじゃないか。ここ1か月ほど、まともに顔を合わせていないことに気が付いて、首をかしげた。


「・・・アオ、今日飯いらん」

「・・・は?俺?」

手を洗い終えた蔵が、衝撃の一言を落とした。
いや、飯いらんの方やなくて。


「く、蔵・・・」

「お、お兄なんて、アオで充分や!!」

ガツン、と鈍器で頭を殴られたような衝撃だった。
不貞腐れたように、けれどなんでかまた顔を真っ赤に染めてそう言い放った蔵ノ介に視界が真っ暗に染まる。
仕事で帰りが遅い親に代わって年の離れた俺が今まで蔵の世話をしてきた。
いつもお兄お兄って、お兄って・・・


「なっ、泣き出さんでええやろ!ほんま、面倒や、もう寝る!」

「ちょっ、蔵ノ介っ!!!」

待ちい、まだ話は終わっとらんで!そんな、俺の断末魔が白石家に響き渡る。けれど、蔵ノ介は待ってはくれなかった。
これが、親離れってやつなんかな・・・(正確には兄離れやろか。)
グズ、と鼻を鳴らす。こんなにさみしいもんやとは思わんかった。

愛しい弟は、もう俺を兄とは呼んでくれなかった。