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「#エロ」のBL小説を読む
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ずるいから好きです




「アオさん!」

日曜午後3時、図書館・・・にて

「お、ヒビキくん」

オレの一日は、やっと始まる


「アオさん、こんにちは」

「こんにちはヒビキくん」

アオさんがクスリと笑いながら眼鏡を取り外した。
ふわり、動くだけでいいにおいがする。
まるで、そう。風呂にでも入ってきたみたいな、せっけんの香り。

なぜだか顔に熱が集まって、真っ赤になってしまう。
うわ、恥ずかしい!
さもおかしそうに大丈夫?と問いかけてくるアオさんに真っ赤な顔を見られたくなくて。
何を見てるんですか、と本をのぞけばそこには細かい字がぎっしりと詰められていた。

「うわ、すご」

「うん?ああ、これね。心理学の本で、友達にすすめられたんだ」

もしよかったら、見てみる?
そう悪戯っ子のような笑みでオレにすすめてくるアオさんにまたもや顔が赤くなるのがわかった。
あわてていいです!と拒否をするけれどもアオさんは一向に下がろうとしない。
オレに、どうしろっていうんですか。
半べそになりながらアオさんを見つめればふわり、と微笑まれた。

「嘘だよ、ごめんねいじめちゃって」

「アオさん、」

ああ、なんてこの人は、なんて綺麗に笑うんだろう。
胸の奥がキュウと締め付けられ、そして熱くなっていく感覚にオレは眉をしかめた。
ああ、もう。もどかしい。この距離が、見えない壁が、もどかしい。

「アオさん、あの」

「どうしたの?」

ん?と不思議そうに首を傾げるアオさんにドクンと胸がなった。
今すぐにでも、この人をオレのものにしてしまいたい。きつく抱きしめて、逃げられないようにして閉じ込めてぐちゃぐちゃにしてオレなしじゃ生きれないようにして
・・・いい、なあ。
ゴクリとつばを飲み込む音がやけに大きく感じられた。

「ヒビキくん、聞いて」

オレが一向に話し始めないのに待ちきれなかったのだろう。
・・・それか、オレが話しやすくするため、気を紛らわせようとでもしてくれたのか。わかんないけど。
まあとりあえず座りなよ。
アオさんはそう言ってアオさんの隣の席をトントン、と軽くたたいた。
オレは黙って席に着く。
アオさんは、何の脈略もなしに突然オレの頭を帽子ごと触ってきた。

「!」

「ね、ヒビキくん」

まるで、オレの反応なんて眼中にないかのように。すすめる話。ああ、なんでだろ。

聞きたくない

「俺ね、来週結婚するんだ」

「―」

――――・・・
―――――――!

「そしたら、全然別の町に引っ越すの。」


ア。
アア、ア。
ウ・・・あ

「荷物の整理とか、準備とか、いろいろあるから。
・・・多分、此処に来れるのも、今日で最後だと思う。」

ケッコン、結婚?

「ヒビキくんには言っておきたくて・・・ごめんね」

ゴメンネ。
それが、なぜだがわからないけれど。
言ってもいない、告げてもいないオレの告白への返事に聞こえてしまった。

ズルイ、ずるいです。
オレを置いてくんですか、いや違うオレから逃げるためにケッコンをしてオレをとおざけるために違う町にいくんでしょわかってますよそんなことだってオレアオさんのこと大好きですもんなんでも知ってますよ勿論そのあんたとケッコンするっていう女よりもあんたのことりかいしてるしわかってますなんでなんでなんでなんでその女なのそんな女よりもオレのほうが深く深くあんたを愛してんのに大好きなのになんでなんでその女なのいつであったのいつ話し始めたのいつ手を触れ合ったのいつキスしたのいつセックスしていつ抱き合ってるのねえねえねえオレその女よりもアオさんのこと愛してる自信あるよ絶対にオレのこの気持ちはまけてないよそう絶対にアオさんが望むことはなんだってかなえる自信あるしアオさんのためならなんだってできるそうなんでもだって大好き大好きなんだ大好き好きすきすきすきすきなの大好きなの愛してるんだ愛してるあいしてるあいしてるあいしてるだからお願いオレをあいしてりかいしてうけとめてお願いねえわかってりかいしてねえねえなんでわかってくれないのわからないのねえねえなあおい気がつけよこの気持ちに!!


「そうなんですか、おめでとうございます・・・アオさん」

あふれ出しそうになる言葉を無理やり飲み込む。
ペタリと顔に貼り付けた笑顔。
ホっと息をつくアオさんを笑顔で見つめた。

さあ、これからどうしようか。
俺にはこれからやらなくちゃいけないことがたくさんあるんだ。ねえ、アオさん。


オレから逃げるから、好き
(逃げられるほど燃えるって、これのこと?)
(すきすきすきすきだいすきあいしてる!!)


END

お題提供:確かに恋だった様
初々しい恋10題→ずるいから好きです