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略奪のすゝめ


「・・・」

ガンガンと脈打つ頭
昨日の夜、考えて、考えて・・・そして、眠れなかったせいでまぶたが重たい。

現国担当の教師の声をどこか遠くに聞きながら、
俺はただ教科書にプリントされた文字の羅列をボウと眺めていた。

「聞いてくれ・・・アオ」

本当は薄々だったけれど、わかっていた。
苦しそうに眉を寄せて、震える手で俺の肩を掴む彼に、俺は気が付いていたんだ。

ダメだったんだ。
聞いてはダメだったんだ。

「お前は、あいつが・・・好きなの、か?」

途切れ途切れに、まるで言葉を選ぶかのようにして彼は言った。
俺が、あいつを好きか、と。
無論・・・好きだ。男同士とか、関係ないくらいに大好きで大好きで。
あいつがいずれ俺のことを嫌いになるまで、一緒にいたいとさえ思っていた・
とにかく、好きだったんだ。
どうしようもないくらいに、・・・レッドのことが。

「アイツ・・・。・・・、浮気してる」

女と。
そう目の前の男―・・・グリーンから吐き出された言葉は俺には拾えなかった。
理解が、できなかった。
・・・違う。理解、したくなかったのだ。
一番の最悪のパターンに俺はただ立ち尽くすばかり。
何か、グリーンが言っていた。
だけど、聞こえない。何も、キコエナイ。
その瞬間から俺の世界に、赤の色だけハタリと消えうせてしまっていた。


「―・・・、アオ・・・頼むから、泣くな」

漸く耳に入ってきた言葉は自分では信じられないことで。
俺が、泣いている?
背中に回されたグリーンの腕が痛いくらい優しく俺を包み込む。
ああ、なんで、なんでだ。
なんで、なんで、なんで。
なんで。
なんで・・・?

「・・・アオ」

なんで浮気したの
なんでレッドなの
なんで俺じゃだめなの
なんで俺は泣いてるの
なんで俺は

「グリ・・・ン・・・」

グリーンを求めてるの?



「アオ、」

「グリーン」

休み時間に入り、俺の机のすぐ傍までやってきたグリーンの名を呼ぶ。
心配そうに寄せられた眉を見ない振りして俺は1人呟いた。


「俺が求めてんのは、レッドなのにね」

あの日から、俺の世界から赤の色は消えた。
それでも俺は信じてるんだ。赤の色は、きっとどこかにあると
そうでないと、緑に呑まれてしまうから・・・ね


END