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夢見



最近、嫌な夢ばかり見る。
ただ先へ続く真っ黒な闇が俺を飲み込もうとしてくるんだ

にがさない

はなさない

そう、何度も何度も・・・呟きながら。


「マツバさん、」

「どうしたの?・・・また、悪い夢見たの?」

恐る恐るといったように俺の顔を覗き込むようにして問いかけてくるマツバさんにコクリとうなずく。
マツバさんの周りに漂うゴースやゴーストが声を立てて笑った。

「大丈夫だよ、僕がいる」

ふわりと、マツバさんの体温に包まれ瞬時にああ抱きしめられたんだな、と悟る。
近距離のせいか香るマツバさんの匂いに目を細め、目の前にある薄い生地の服を弱い力で掴んだ。

「マツバ・・・さん」

「怖がらないで、大丈夫だから」

なんて、温かいのだろう。
あの悪夢がまるでうそのようだ。
優しく、抱きしめたまま俺の頭を撫でるマツバさんの名前をもう一度、かみ締めるように呟いた。


「逃がさないし、離さないよ―アオくん」

傍らで眠る青年の髪を梳く。
ゴーストの催眠術によって彼はまだ目覚めない。
目覚めたとき、その顔はまた恐怖の色に染まっているのだろう。

「ゴースト、悪夢」

ただ、ただ一言指示を下す。
僕の周りで漂うポケモンたちはケケ、と声を出して笑った。


END