後悔ラプソディー
「ぃ、や、・・・やめ、てっ」
「何がやめて?僕の言うこと無視しておいてよく言うよ」
前髪を引っ張られ、無理やり膝たちさせられる。
私よりも幼いはずの子供はその瞳に狂気をにじませながらとても嬉しそうに笑った。
「アオさんにはお仕置きが必要だよね?」
「っや、やだ、ごめんなさい、ごめんなさい・・・!」
「ダメだよ、許さない」
ニタリ、
口角を上げ、目を細めるヒビキくんにひゅ、と喉がなった。
ペニテント狂詩曲
「ぁ、や、・・・やだ、やだ・・・やだ、やめ、ごめんなさい、ごめんなさい、許して・・・ごめんなさい」
カタカタと無意識のうちに身体が震える。
またぶたれる。また蹴られる。またはたかれる。
もうイヤだいやなのごめんなさいいたいのはいやぶたないでごめんなさいごめんなさいごめんなさい
「ゆる、して・・・」
「ねえ、アオさんはなんで僕の言うこと聞けないの?この耳はお飾り?」
グイと手加減もなしに耳を引っ張られて目を見開く。
痛い痛いよ。生理的な涙を目に浮かべて歯をカタカタ鳴らす。
ヒビキくんはクツクツと喉の奥で笑うと私の顎のラインを人差し指でなぞった。
「そんなにおびえないでよ」
「ヒビ、キ・・・く、ん」
優しい手とその微笑みに少しだけ息を吐くが身体は強張ったまま。
そのまま、私の視界はグルリと反転した。
「ぁ、ぐ・・・!っ、は・・・ぁ゛」
仰向けに倒れた私の上に、すかさず馬乗りするヒビキくんにビクリと身体を震わせる。
先日殴られたばっかりの、お腹にある痣の場所を服の上から触られて、息を詰めた。
「もっと虐めたくなる」
「ヒビキく、っ」
「こんなに弱いアンタを傷つけて泣かせているのは僕なんだ、って考えるとさ」
思いっきりお腹に圧迫が加えられ、目を見開く。
呼吸が、できない。いきができないよ。
「ゾクゾクするんだよね」
「ぁ、・・・」
臓器が必要以上に圧迫され、気持ち悪い。
息が詰まる呼吸ができない酸素が取り入れられない。
ボロボロと目から大粒の涙を零し、楽しそうに私の上に馬のりしたままのヒビキくんに腕を伸ばす。
死んじゃうよ、このままだと死んじゃう。だって苦しいの、とても苦しいんだよこれ。
お願いだから助けて、助けて
「ねえ、僕の言うこと聞いてくれる・・・よね?」
「っ、・・・は」
コクコクと何度も頷く。
今は何でもいいから、解放されたかった。
この苦しみから逃れるなら、なんだってする。
たとえ、ソレが私にはできないことだとしても。
「じゃあ・・・約束。次に会うまでには」
ニコリ、まるで純粋な子供のように。
その裏側を隠して、綺麗に綺麗に笑った。
「ロケット団、脱退してね」
私には、生まれたときからロケット団しかなかったの。
今更、そこから抜けろなんていわれたって・・・抜けられるわけないじゃない。
それを一番理解しているのは私であって、そして貴方でもあるのに。
END