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「#エロ」のBL小説を読む
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after school


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「聞いてた?」
「え、あ・・・まあ、少し」

そう言えば苛立たそうに舌を打つクラスメイトの姿にえ、と身体を固める。
面倒そうに顔を歪めながら息を吐き出す赤髪の彼、華原雅紀は確か俺の記憶にある限り常時笑顔で、そしてとてつもないほどのいい奴だった気がする。
何度か会話を交わしたことも会ったが、確かに気のいい奴だったはずだ。それが、何故。

「お前まじ間悪いな」
「あ、すまん・・・」

冗談を言っている風でもなくとてもいらついているよう。人格変わりすぎだろ。もしかしたら二重人格とかだったのだろうか。いや、それともストレスでも溜め込んでいた?もうわけわからん、どうなってんの。
道をあけてくれそうもないし。日直のため押し付けられたゴミ捨て。地面に置いた大きなゴミ袋に視線を移した。

「本性がこんなんで悪かったな、にこにこしてんのも疲れんだよね」
「え、」
「なんか言ってみたら?」

光る太陽の下で真っ白な歯を見せつけながら太陽にも劣らない輝く笑みを浮かべていた華原は一体どこへいったのだろうか。いや、この目の前の男の発言からしてもしやそっちの華原が作られたものだとしたら。

「・・・無理してたのか?」

口にしてから気がつく。何言ってんだ俺。
唖然とする華原に気まずさを感じていや、えっとなんて言葉にならない声を出す俺、超かっこわりい。
ギュときつく口を結んだ華原はなんだかツラそうな表情をしていて。一体なぜ、俺にそんな姿を見せたのだろうか。もしもキャラ作りとやらをしているのだとして、今このタイミングで俺に牙をむいてるってことは大分疲れでも溜まっていたのだろうか。

「悪かった、聞かなかったことにする」
「・・・本当、最悪」
「・・・おー」

地面に置いたゴミ袋を持ち上げ、無言で歩き出す。
動かない華原。どこに視線を落とそうかキョロキョロと目線をうつす俺。
すれ違う際に盗み見たつもりの華原と目が合ってしまい、そして睨まれた。

「誰にも言うんじゃねえよ」

そう言う華原に小さくうなずく。何も考えないようになんとなく空を見上げた。
きっと華原もいろいろあるんだろう。あまり突っ込まないようにしよう、ってか触れない。絶対触れてやるもんか。
クラスメイトの意外な一面を見た、何気ない放課後だった。

END