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眠らない夜


「いっつもいつも後先考えんと勝手に行動して」

「俺はいつまでお前の子守せなあかんの」

「ええ加減にせんかい」
「光くん怖いよ」

心底呆れたようにブチブチ一人話す光くんから視線をそらす。
すぐ隣で寝転がる光くんはただボウと天井を見つめるだけ。俺はというとゲームをしているわけなのだけど。
まったりと過ぎていく時間も、すでに24時を周り現在時刻深夜3時。最近完全な夜型へと変わってきている自分はまった眠くなんかないのだけど、光くんはそうでもないようで。(まあ俺とは違って寝っころがってるってのもあるんだろうけど)うとりうとりと眠そうにゆっくり瞬きを繰り返しながら光くんは悪態をつく。
眠いなら寝てしまえばいいのに。あ、やべパーティ全員死んじゃった。

「誰のせいで怖なってると思ってん。自分のせいやで、気が付け阿呆」
「ごめーん」
「誠意がこもってへん。コンビニでぜんざいアイス買ってこんかい」
「わけわからんし」

てれーん、と何度も聞いたGAME OVERのBGMにポイ、とコントローラーを放り投げた。
別に光くんの言うとおりにコンビニで善哉アイスを買うためにパシリになるつもりもないし、かといってもう眠るつもりもない。
ただちょっとゲームオーバを連発しすぎて飽きてきただけ。いい加減この面のボス強すぎなんだよ。レベル配分もっと気を付けておけばよかった。

「眠いんなら寝ていいけど」
「誰が寝るか」
「え、急に切れるなし」
「ぜんざいアイス食うまで寝れんわ」

ぐだぐだと完全な夜中のテンションのまま光くんは大きな欠伸を漏らした。
このままだと本当に寝なさそうだ。しかし大体この場合光くんがどんなに寝ないと言いながらも寝てしまうパターンなのだけど。

「ん、コンビニ一緒に行く?」
「・・・おん」
「じゃあ行こう」

のそりと起き上がった光くんはもう一度でっかい欠伸を溢して、上着を羽織った。
その手に財布が握られていないことにため息を吐き出す。ああ、俺の奢りかよ。俺が財布持ってかなかったら持ってなかったでキレて取りに帰させるくせに。あーもう、年下って損なポジション。


「しゃあないな、明日も泊まったる」
「光くん・・・?」
「おばさん1週間帰ってけえへんのやろ」
「まあそうだけど、」
「さびしいやろうから一緒にいてやってん。朝昼晩飯奢るくらいせえ」

俺が奢んの?
財布の中身を確認しながら男子高校生二人分の1週間の飯代なんて入ってるかこのやろうと若干涙目になる。
でも、まあ。

「明日はちゃんと俺の指示どおり動かんとマジキレるで」
「だって光くんおっそいんだもん」
「ホラクエは連携プレーが大切なん。テニスと同じやバカもん」
「テニス未経験者でーす」

幼馴染、ってポジションもたいして悪くは・・・ない。かな。


END