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振られる(立場)


振る/白石視点



好きな子がおった。
高校の入学式の日、同じクラスになってから3年間ずっと彼女に恋をし続けた。
笑顔の可愛い子やった。


高校二年生。クラスが離れた。
しかも端と端。最悪やった。それからは毎日ため息が多くなったし、自然と彼女を探すためにキョロキョロしていることも多くなった。
こんなんじゃだめだ。大好きなテニスにも身が入らない、勉強も学校生活もダメになっていく。頭を抱える毎日だった。
そんな時、彼女から唐突に告げられた好きの言葉。

「好き、なんだけど・・・っ」

頭が真っ白になった。
心臓がどきどきうるさくて、両想いってあるんや、って心が幸せでいっぱいになった。

「私じゃ・・・だめ、?」

だけどそれと同時に今の現状に気が付く。
部活も勉強も生活も全て中途半端。こんな状況で付き合いでもしたら、彼女のことさえ中途半端で終わらせてしまいそう。
彼女が、俺のことを好きなら。好きでいてくれるなら。

「ごめん」


それ以外、何も言えなかった。
振る理由なんて、俺の勝手な理由だけだったから。
俺、最低や。必死に笑顔を作ろうとする彼女に今の顔を見られたくなくて背を向けた。


放課後の教室で、今年初めて同じクラスになったやつに話しかけられた。

「白石お前コクられたろ!」
「あ、オレもそれ聞いたことあるー」
「噂すごいぞ」

男子三人に囲まれ、質問攻め。
随分勝手なことを言ってくれる奴らだった。
―何も知らないくせに。
彼らの勝手な想像妄想にただ笑いながら適当な返事を返した。




それからの時間は早かった。
恋を捨て、部活と勉強に熱を入れる。そんな高校生活をただ淡々と送る毎日。
何回かコクられもしたけれど、そのたびに振った。相手を傷つけないよう、言葉を選んで。
あの時も、もう少し何か伝えておけばよかった、なんて何度後悔したことか。

高校三年生。
部活も引退し、学校生活もあと数日。
同じクラスになった佐藤の姿を放課後の教室で見つけて、一人胸を高鳴らす。
高校の入学式からもう3年。あの頃から可愛くてきれいになった佐藤は手の届かないような距離まで行ってしまっていた。
元生徒会長で、誰にでも優しく勉強も運動もできる。本当、1年生の頃から変わった。
だけど、笑顔だけは変わらなくて。やっぱり俺の好きな佐藤で。

「佐藤」

伝えてしまおう。
3年間、思い続けてきた貴女へ。
あの頃俺が振ったように、俺を振ったっていい。

「あんな、」

この2年間、貴女を苦しめてきた。
もう、苦しい思いはしないでええ。


「好きや」
今まで、ごめん。
(全部、ぜんぶ、気が付いてんねん)
(はやく、君が俺から解放されますように)




END