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窓に映る青春と



「お、忍足くんっ!」

静まり返った教室で彼の名を呼べば、忍足くんははいっ、と緊張のせいか上ずった声を上げる。それからしまったと口に出さないものの顔を顰め口を抑えた。その姿を見て思わずクスリと笑えば忍足くんははは、と乾いた笑みを浮かべた。

「い、いきなりごめんね、?」
「え、ええねん。気にせんで」

若干の気まずさを残した空気を思い切り吸い込む。
未だ戸惑いと緊張を隠し切れない忍足君の目を見つめ、あの、と切り出した。


「好き、です」

付き合ってください。続いて発した言葉、震える声は緊張のためか。
真っ赤に染めた顔を見られたくなくて深く俯くも、時が止まったかのように真っ直ぐ私を見つめる忍足君の瞳が突き刺さり今一度私の顔をゆっくりと持ち上げさせた。一瞬が永遠かのように感じられて、息をふっと詰める。
驚いたように目を丸める忍足君と、きっと不安と緊張と期待と逃げ出したい気持ちでぐちゃぐちゃであろう私の視線が絡まりそして、


「俺で、ええの?」

頬を赤く染めて、手を後頭に置く忍足君がポツリ呟くように言った。
いろんな感情が入り混じっているせいでわけもわからず目に涙を浮かべながら忍足君を信じられないものをまじまじと見つめた。彼の言葉を理解するのに約3秒。窓から差す夕焼けの光に手の震えが止まった。

「その、・・・なんや、めっちゃ嬉しい」
「・・・」

何か言わなくちゃ、言葉を探すも何も見つからない。そんな私を他所に忍忍足君はギュ、とそのテニスで鍛えた逞しい腕に私を閉じ込めた。ふわりと鼻をくすぐる匂いはきっと忍足君の家の匂いで。
どうやら私は理解するのに時間がかかる頭の弱い子のようだ。抱きしめられてから2秒後、事態を把握して顔を赤く染めた。
私は忍足君の胸板に身体をピトリとくっつける。
忍足君は私の肩を抱き締め、首元に顔を埋める。
何、この状況、展開。


「伝えてくれて、ありがと」

忍足君の声が耳元で震える。
忍足君ごしに見えた窓の外の夕焼けは信じられないほどに綺麗だった。

END