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敷地内での使用禁止につき


!学パロ


「ダイゴ、帰ろうぜ」

空が赤く霞み太陽がまぶしい。
窓の外をぼんやりと眺める友人の後姿にいつも通り声をかければ振り向くその顔に、あれ、と目を丸めた。

「寝てたのか?」

「あー、ちょっとだけ」

気が付いたら寝てたんだ、と片手で顔を覆うダイゴの姿に珍しいこともあるものだと空いてる誰かの机の上に腰をおろした。
この学校の生徒会長でもあるダイゴは典型的な優等生、というわけではないものの成績は優秀、授業中の睡眠もあまりないやつだった気がする。寝起きらしくとろんとした目に苦笑を漏らしながらベルトにくっついたモンスターボールを一つ手に取った。

「なあ、見てくれよ!新しいポケモン捕まえたんだ」

「前買ってたあれ、どうしたんだよ」

「あー、お前の大嫌いなゼニガメだろ?母さんに大事にされてるよ」

「・・・またお母さんにパクられたのか」

別に嫌いなわけじゃないけどな。そう付け足して頬づくダイゴ。
彼のパートナーとゼニガメの愛称は最悪だった、一度勝負をしたことがあったがゼニガメは強かった。まだ小さいゼニガメが彼のパートナーに勝つことはさすがになかったもののなかなかいいところまでいったのだ。
ダイゴも、ダイゴのポケモンもそれはそれは落ち込んだのだろう。あれっきりゼニガメとは勝負さえしてくれない。

「捕まえたんだっけ?虫とかだったら本当殴るよ」

「高校生になってまで虫ポケなんか捕まえねえよ」

ほれ、見ろ。にこやかに笑って、モンスターボールの中央ボタンを押す。いぶかしげに眉を顰めるダイゴの前に赤い光に包まれながら現れるポケモン。
両親の実家へ帰った時、新しく捕まえた。ここらじゃ見ないポケモンである。


「・・・なにこいつ?」

「オニゴーリ」

かわいくね?般若みたいな顔をした、デカ顔のポケモンである。寒い地方にしかいないのである。

「ちょっと、寒いから戻してくれないか」

「あ、わり」

季節は秋。ひんやりと冷える季節である。その上オニゴーリを出したせいか、教室内の温度は数度下がったような気さえする。いまだ懐かないオニゴーリは俺の方を見ようともせずにおとなしくモンスターボールの中へ帰っていきました。なにやってんだろ俺。

「帰ろうか」

「あ、おう」

笑顔で立ち上がるダイゴに手に持ったモンスターボールを元の位置にしまう。
そういえばうちの学校ボール持ち込み禁止じゃなかったか?とカバンを持ち歩き出すダイゴをゆったりと追いかけながらばあか、とつぶやく。

「敷地内での使用禁止な」

持ち込みはいいの。教室の扉で立ち止まり俺を振り返るダイゴに笑って言ってやった。

END