七日一話 | ナノ
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僕の始まる計画


(2/9)


「白石くん、ごめん、数学の授業なんだけどさ。前の高校とやってる範囲違くって、ちょっと聞いてもいい?」

お昼休みの事。教科書を胸に抱えながら、廊下にて前方を歩く白石蔵ノ介を呼び止める。
すると白石くんは不思議そうに振り返り、俺の姿を見止めるとその端正な顔立ちにふわりと柔らかな笑みを浮かべて、ん?と優し気に首を傾げた。

その姿に一瞬にして目が奪われる。なんて綺麗な顔立ちなんだろう、下腹部がきゅうと締め付けられ血管が膨張する、心拍数が上がりこの一瞬で体温が何度か上がった気さえする。
ああ、くっそ、最高でしかない。ノンケだよな、絶対にノンケだよこれ。白石くんの俺を見つめるそれは、変な時期に転校してきた可哀想な平凡男子高校生だと信じて疑わない瞳だ。きっと責任感や庇護心の強い性格なのだろう、出来る限り力になりたいという白石くんの純粋な優しさがありありと伝わってくるのがまたなんとも下半身にクるわけだが、それを一切表には出さないよう飲み込む。

今すぐにでも白石くんの制服を剥いてぐちゃぐちゃに犯したい(正確に言うと犯されたい)衝動に駆られるが少し冷静になれ、ここは学校だし体格的にも抵抗する白石くんを押し倒せる自信などこれっぽちだってない。
ここはゆっくり、じんわりと仲を深めて、別に好きになんてならなくていい。俺なら別にヤってもいいかなと思えるくらいまでの関係に持ち込むのが一番手っ取り早い方法だろう。酒の力があればもっと簡単なんだろうけれど、まあ無理な話は今はいい。いかにしてこの一年の間に関係を深められるかが重要だ。
間違ったって下心が透けて見えてしまわないよう気をつけながらも、白石くんの瞳をまっすぐに見つめて教室でいいかな。と小首を傾げた。






「白石くんって教えんの上手だね、先生よりわかりやすかった」
「それは大げさちゃう?そもそも此処まで飲み込みが早いんは八代くんの理解力があるからやし」

一つの机に椅子を寄せ合い問いを解いていくその時間は至高そのものだった。
白石くんのいい香りが集中せねばならない頭をくらくらとさせ、教科書をなぞる細い指に目は釘づけで最早問いどころではなかった。この香りに汗のにおいがまじったら、どんなえろい匂いになってしまうのか。この指が咥内を、身体を犯していく。胎内に埋もれた細長いその指がいいところを掠めて……。

「あー……」

やばい。想像したら勃った。
一人悶える俺に白石くんは不思議そうな顔をしている。やばいやばい、俺が変な事想像して勃ってるとバレたら一大事だ。落ち着け。取り繕うように笑みを浮かべて開いてた教科書を閉じる。昼休みももう終わってしまう、時計に目を向ければ意外と長いことこうしていたようで、授業開始までもう5分となかった。


「ありがと、これで次の授業には追いつけそうだ」
「全然。また何かわからへんとこあったら言うてな、いつでも付き合うで」
「うん。あ、お礼になんか奢るよ、俺白石くんと仲良くなりたい」

直球な俺の台詞に面食らったような表情をして、それから照れたように笑みを浮かべる白石くん。内心フィーバーが止まらないがそれをおくびにも出さず、にこにこと下心を感じさせない笑みを浮かべる。そして俺の狙い通り、白石くんはほんなら、と何一つ疑うことなく誘いに乗ってきたのだった。

「今週の土曜、駅前らへん遊び行く?」
「え、いいの?」
「転入してきたばっかでこの街の事とかまだわからへんやろ、せっかくやし俺に案内させて。俺も八代くんと仲良うなりたいねん」

まるで王子様か何かのように、きらきらと輝く笑顔でそう言う白石くんに思わず吐息が漏れる。最高だ、顔がいい、これでノンケじゃないはずがない。あまりにレベルが高すぎて俺には落とせないかもしれないけれど、それでもこのイケメンと友人関係になれるのならそれはそれでいいかもしれない。

連絡先、交換しとこか。そう言ってポケットから携帯を取り出す白石くんに、緩む頬をそのままに頷く。まだまだこれから。俺の壮大な計画はまだ始まったばかりだ




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