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- ナノ -
一回目の8月は、これが高校生最後の夏休みだと思ってひたすら遊んだ。
二回目の8月を、夏休みが延長されたのだと、ただ感謝をして好きなように過ごした。
三回目の8月に、初めて焦りと危機感を覚えた。
四回目の8月で、俺の心は折れ、動けなくなった。
五回目の8月が、本気で抜け出そうと決めた初めての夏だった。それは財前が、隣にいてくれたからだった。
六回目の8月も、必死に抗った。
七回目の8月だって、同じだ。けれど、諦めが心を蝕む。
八回目の8月を迎えたとき、奇跡が起きた。
それでも俺は結局、九回目の8月を迎えてしまった。

俺は一体、いつまで8月を繰り返すのだろう。
誰でも良い。神様。天使でも悪魔でも、なんだっていい。わがままはもう言わない。しっかり生きていく。きちんと生きていくから、お願いだ。誰か、俺をこの夏から引っ張り上げて。誰か、助けて。