*ネタ提供
!裏(攻めのフェラ描写有
オメガバースパロ
若干の白石受け要素(攻めではある)
未完
その日は確か天秤座が1位だったはず。何をやっても上手くいく日、何かを始めるなら是非今日に。なんて高校三年生の受験期に何かを始める余裕なんてあるわけないだろーが、と焼きすぎて硬くなってしまった食パンを牛乳で流し込んだ朝の記憶が頭を過る。
目の前でヒートらしき症状を起こす同級生の姿に俺の思考はぼんやりと、全てが夢の中の出来事のような感覚に陥っていた。
「っ、ふ、……っ、は…っぁ、は、」
「…お前、Ωだったのかよ、…マジかよ、」
「……っ、ふ、……っ、」
目の前で蹲り、返事も返さず辛そうに荒い呼吸を繰り返す姿はいつもの彼の面影など一切ない。茹でタコのように真っ赤に染まった顔と額に浮かぶ汗が彼の辛さを物語る。そんなまさか、彼が。俺はてっきり、この男はαかと思っていたのに。いきなり転じた彼の様子に驚きや動揺も多少なりともあったが、それよりも俺が感じていたのは失望に近いものだったのかもしれない。
彼はαの多いこの学園でも劣ることなく、むしろ常に皆のトップにいるような男だといえばわかりやすいだろうか。勉強、運動、何を取っても彼は一流の男だった。
その上テニス部の部長を務め、全国大会にも出場したと聞いている。謂わば、完璧。まさかそんな人間が存在するはずが無いと性格や素行に難があるかと思えばそんな事はない。風紀を乱すよう事は一切無く、大阪人らしく時に冗談を交えるような気さくさもあり、その上まるで人形のような綺麗な顔立ちときたもんだ。まさかそんな完全無欠、パーフェクトヒューマンなる者がこの世に実在するなんて、しかも同じ学年の、クラスは違えど同じ委員会に所属しているなんて。
同じαとして、少なからず俺は白石蔵ノ介に憧れを抱いていたんだ。彼の本当を知るまでは。
「…っ、とにかく、保健室行くぞ。立てるか?てか、薬は?」
「わか、…ら、っ………」
「お前な、いつも完璧なのになんでこう大切なところだけ……あー…くっそ……」
「すま、ん…ハル、ほんまに、」
「もうしゃべんな。腕、肩に回して。こんなでも一応俺もαだから、さっさと保健室連れてって距離取りたいんだよ」
今はまだ大丈夫だが、抑えこまれていたフェロモンが先程から漏れだすように匂い初めているのだ。抑制剤が切れたのか、なんなのか。Ωのことはよく知らないしわからないけれど、この匂いを嗅いでると時期に自分が自分ではなくなってしまうっていうのは本能でわかる。
俺の肩に腕を回しぐったりとする白石は荒い呼吸を繰り返す。熱い身体と見えた首筋に心臓が跳ね、汗がどっと出た。
本当に、勘弁してくれ。もしも仮に我慢が出来なくて……本当もしもの話だが、こんなところで盛ったりしたら。きっと余計匂いは強くなって他の雄が寄り付いてくるだろう。今までもそういう場面は少なからず見てきた。Ωの事はよく知らないが、この強烈な匂いは危険だという事は本能的によくわかる。輪姦なんて、そんなレアなものでもない。
というかそもそもの話そんな行為をする事はお互い不本意でしかないわけで、俺が堪えればいい話なのだ。よし頑張れ俺。
すぐ近くから誘うように巻きつくその匂いに、今にも飲まれてしまいそうになるのをぐっと堪えて、白石を抱えて立ちがる。
今は放課後。保健室に行くまで誰とも会いませんように。とにかく今はそう願うしかなかった。
続く
完璧人間Ω白石攻め