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ローリング・ボーイ


少しやさしくしすぎたのかもしれない。
どろどろに甘やかしすぎて、行き着くところはいつも同じだった。
昔から弟と妹も同然の存在を二人連れて歩いてたせいで根っからの兄貴体質なことはもうすでに周知の事実だし、自覚もしている。飴と鞭の使い方がへたくそなのだ。
それでも俺は鞭は必要ないと思っているし、飴だけで大切なものを育て守る自信もある。
今までそれで大丈夫だったのだ、これからだってきっとそのはずだって、信じて疑わなかった。
そして、きっとそんな俺の考えがバカだったのだ。


「うん、大丈夫みたいだ。これで勝手にどこかいったりしないよな?もうこれ以上心配かけないでくれよ」

足首を鎖でつながれたユウキの姿にうんうん、と一人うなずく。
青い顔のユウキはいまだに納得がいかないような顔で俺を見上げるがそんなことはどうでもいい。少し怖がっているようにも見える。しかし、やさしくしているだけじゃだめなんだ。

「・・・トーマ、さん」

「ん?足、きつかった?」

「ちがくて、これって、なに、」

不安げに瞳を揺らして尋ねるユウキ。膝をついて彼女の目線に合わせてから、ふふ、と笑った。

「お前が勝手にどっかいかないように」

「え、っと・・・」

「ユウキは家のことやっててくれればいいから。大学はやめて、俺の帰り待ってて」

「っ、トーマさ、・・・冗談ですよね?」

ハハ、と誤魔化すように下手くそな笑顔を作って無理やり笑うユウキの頭をやさしく撫でた。
あーあ、やっぱりそう簡単に厳しくなんてできないみたいだ。体をこわばらせるユウキにもう一度笑みを漏らしてそっと唇を合わせた。

「本気。お前はずっと俺の傍にいて」


"トーマさん、あのね。"


私、好きな人できたの。
嬉しそうに、恥ずかしそうにそうやって報告する君はとてもきれいで、とても俺をイラつかせたんだ。いつの日か言った、頼れるのは俺だけって言葉忘れてないよね?

ほかの男なんかいらない。目に入ってしまうのなら隔離してしまえばいい。
一番頼れるのは俺なんでしょ?ならいいじゃない、俺だけがユウキの世界に一人いれば。

「愛してるよ」

やっぱり、しばらく飴だけ与えていこうかな。
どうしようもなくなったその時だけ、鞭は使うことにするよ。だって、大好きなんだ。愛しいから甘やかしたくなる。
しばらくの間、鞭は置いていこう。いらない考えと、葛藤も一緒に。


END