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リミット


「好きで、好きで仕方なくって、どうしようもなくって、この愛の行き場はどこにいけばいいんだろうって、毎晩毎晩考えるんだ。」

自身の手をジイっと見つめ、ぼそぼそと口の中でつぶやく目の前の少年に嫌な汗をかく。
彼の瞳に光はない。いつもの元気すぎる覇気は何処へ、負のオーラに包まれるヒビキくんに口の中がカラカラに乾く。
一体どうしちゃったんだろう。こんな姿、今まで一度も見たことがない。

「ねえ、ユウキちゃん」

そう言いながら私に視線を移すヒビキくん。
やはりその瞳に光は見えない。部屋の端に追い込まれた私を上から逃げられないように見下ろしているせいか妙な緊張感で体が重たい。
ちいさなころから知っていて、小学校も中学校も、高校も一緒の中のいい二つ下の幼馴染。たったそれだけの関係。それでもただの友人よりも強いきずなで繋がっている私たち。

「ひ、びきくん・・・」

「ユウキは俺から逃げたりしないよね?」

大切な大切な幼馴染で、後輩で、弟で。そう思っていたのは、私だけなの?
それとも、ヒビキくんがおかしいの?
ギュ、と力の限り抱きしめられる。肩はミシミシと骨が軋むよう。息もつまり、圧迫死してしまいそうな。



「く、くるし・・・ひびきくん、」

「逃げないで。俺の傍にいて。ずっと、ずっと一緒にいて」

「わか、ったから、」

「約束だよ」

ヒビキくんは光の瞳でふわりと笑った。
唇を私の額に押し付けるヒビキくんにゾワリと背筋が逆立つ。こんなの、いつものヒビキくんじゃない。だってヒビキ君はもっと無邪気で、かわいくて、いつも私を頼りにしてきて。

「もう、どこにもいかせない。」

目の前の男は、そのどれにも当てはまらない。この人は、一体誰?
本当に嬉しそうに笑みを浮かべるヒビキくんに、私はわけがわからないまま、ただ黙ってヒビキくんの腕に抱かれていた。



END