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微睡みを愛して


「おまえ、トパ?」

「!・・・ユウキ?」

うそだろ!そう俺の名を呼んで、目を見開く友人。本当に驚いたような顔をするから俺もえ?と声を漏らした。
実に5年ぶりだろうか。風の噂で2年前の戦争に彼が参加したという話は聞いていたけれど、俺は戦から逃げ続けていたから再開は果たされなかった。
そう、実に5年ぶりだ。5年前の蒼炎の戦を共に戦いきったのが最後で、それっきり。


「お前、なんでおれの前に顔出さなかったんだよ・・・!ずっと、ずっと探してたんだぞ!!」

「いや、ほら・・・悪かったって」

詰め寄ってくるトパックに、自分がどうしようもない失態を犯してしまったような気がして目線を逸らす。ずっとベグニオンの小さな村で何かから隠れるようにひっそりと生活を送っていた。
俺のことを少し探しても、生きているのか、死んでいるのか、そんな情報さえ入ってこなかっただろう。探したのだったら、少し悪いことをしたかもしれない。ただ、戦をもうしたくなかったんだ。

「トパ、」

「・・・ユウキ、死んだのかと思って、おれ・・・」

すごい、不安だったんだ。
泣きそうに顔を歪めて俺の手を強く握るトパックに言葉をなくして口をきつく結ぶ。
そういえばデカくなった。身長もそうだし、手も。声だって低くなってて。


「ごめんな、トパック」

身長だって、もう追いつきやがった。
声を上げて泣き始めたトパックに苦笑いを溢しながら、彼のやわらかいオレンジ頭を優しく撫でる。
暫くは泣き止みそうにない、中身は全く成長しない友人に笑ってもう一度ごめんな、とつぶやいた。


END