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戦争でも始めますか


「よお、久しぶりだな」

傷だらけの体で対峙する。
目の前の男は銃の弾を込めながらあの頃と一切変わらない笑みを浮かべて、頬に流れる血を拭った。


「まさかこんなところで感動の再開を果たすなんて思わなかったよ」

「ほんとそれな」

先ほどの流れ弾が当たったのか、ジクジクと痛み流血する右足を庇うように体制を整えてかつての友へ銃口を向ける。
小牧は少しさびしげに笑って、構えた。

図書隊であるコイツと、良化隊である俺。
いつかこうなることはわかっていたんだ。今更何をためらう必要がある。


「これ、不公平だよな」

銃の安全装置をお互い外し、引き金に指をひっかける。
小牧や俺、堂上といったレベルならば数十メートルとない近距離で引き金を引けば命中率はほぼ100パーセント。
公平に見えて、明らかな不公平がそこには在った。


「・・・お前さ、今は図書隊のこと忘れろよ」

「急に変なこと言い出すの、変わんないね」

「・・・専守防衛っての?なしなし。そしたら俺お前のこと余裕で殺せちゃうから、つまんないだろ」

「ハハ、よく言うよ」

カラカラと笑う小牧。
外の方からは銃撃音が聞こえてくる。今頃良化隊が図書隊を押しているのだろう。
専守防衛でも図書隊は俺たち良化隊に劣らない力を持っているから侮れない。
俺も早く応戦しなければいけないのだろうけれど、でも昔の友を前にそんな考え吹っ飛んでしまうのだった。


「じゃあ、・・・お前も。相羽も、良化隊のコト忘れて」



高校3年生の夏をふと思い出した。
あの頃も二人こうやって対峙して、流れる汗をそのままに燦々と輝く太陽の下で睨みを利かせていて。


―ジジ、

蝉が嫌な鳴き声を上げたのを皮切りに構えた水鉄砲の引き金をお互い同時に引いた。




「さあ、・・・―あの頃の決着だ」

変わらない友と、変わってしまった立場を超えて、変わらない関係に今ここで終止符を。



END