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孤独な君へ


「あんた、誰?」

久しぶりにこの町へ帰ってきた。
久しぶりに友人の元へ行こうと足を向けた先にいたのはよく見知った二人と、見たこともない金色。
アイツが見たら卒倒しそうな金色のサラサラなストレートパーマの男は綺麗に爽やかにその整った顔に笑みを浮かべると久しぶり、いつ帰ってきたんだなんてまるで俺と知り合いの如く言うもんだからつい言ってしまったんだ。
それからはすごかった。
新八と神楽ははじめこそおかしそうに笑っていたもの、俺が一向にコイツのことを思い出さないせいか次第にその顔には笑みが消えていき、代わりとばかりに困惑と焦りの色をにじませて本気ですか、なんて。
いつ俺が冗談なんて言うか。はて、こんな男俺の知り合いにいただろうか。全く記憶にない。


「さすがに冗談キツいですよユウキさん、」
「そんな、ユウキが金ちゃんのこと忘れるハズがないアル!」

金ちゃん?神楽から出てきた名前に小首を傾げて、もう一度金髪の男へ視線を移す。
金ちゃん、そう呼ばれた男は困ったように腕を組みながら俺をジイと見つめていた。


「銀時は?今はいないのか」

なんとなくいたたまれなくなってそういえば、と話題をすり替える。
先ほどから姿が見当たらない。外出か、どうせ少し待っていれば帰ってくるだろう。ソファに腰を掛けてはーあ、と一つあくびをこぼした。

「?・・・銀時さんってどなたですか?」
「は?」

お前こそ、なんだよその冗談。
至って真顔で、本当に不思議そうに眼を丸めて首をかしげる新八と神楽に動きを止める。
そのまま目だけをすぐ隣に我が物顔で立つ金髪へ移して、腰に掛けた鞘へ手を伸ばした。


「お前、名前はなんだ」
「おいおい、まさか忘れたわけじゃないだろうな?坂田金時だよ」

その情報からなんとなくだけれど、状況を把握する。
なるほど。この世界はまた厄介な問題を起こしたわけだ。こちらとしてはいい迷惑なだけだけなのだけれど。
鞘にかけた手を外してハハ、と取り繕うように笑う。
そうすれば張りつめていた空気は和らぎ新八も神楽も安心したように息を吐き出した。

「悪い悪い、久しぶりだな金時」

立ち上がって坂田金時の肩にポン、と軽く手を置く。
そのまま顔だけ新八に向けてそういえばさ、と笑みを浮かべたまま尋ねた。


「坂田銀時って名乗るやつ、ここに来なかったか?」
「・・・坂田銀時、ですか。2,3日前に突然来たんですけど変な依頼をして、それを受けようとした金さんに危害を加えた最低な男でしたよ」
「本当最低な奴だったアル!金ちゃんかわいそうアル・・・」
「変な依頼、ねえ。どんな依頼だった?」
「なんか家に帰ったら妻が知らない男と一緒にいたとかなんとか。」
「は?・・・ああ、まあいい。ありがとうな」
「ユウキ、もう帰るアルか?」
「ああ、用事ができたもんでな」


そう言って後にした万事屋。
見慣れない看板に視線を移しながら、さあて今頃一人で泣いているであろう銀で天パの友人でも探すか、と少し一人で笑った。


END