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メモも本文も書きかけも3行で終わるものも男主も女主も裏もレイpも失恋も死ねたさえ全ていりまじる。注意でしかない超注意。

2021/03/10 ストーカーをストーカーする白石


 ふざけんな。
 ふざけんな、ふざけんな、ふざけんな。ふざけんなふざけんなふざけんなふざけんなふざけんな!ちくしょう……ちくしょう、なんで俺がこんな目に遭わなくちゃいけねえんだ。ただ俺は**ちゃんの事を少しでも知りたくて少しでも近づきたくて、何かちっぽけなことでもいいから彼女と知り合えるきっかけをさがしていただけなのに、そんなに悪いことなのかそんなに気持ち悪がられるようなことなのかそんなに受け入れてくれないものなのか。触れた肉の温かみがまだ手に残る。すぐに払いのけられた衝撃も消えない。怯えた瞳は瞼に焼き付き、助けを乞う震えた声が耳に張り付いて決して消えはしない。初めて俺を移した**ちゃんの瞳が頭から離れなくて。
 ああ、もういいわかった。人の好意を無碍にする人間は、どうなったっていいよな。人の気持ちも考えずに拒絶しはね除けるその行為の罪深さ、拒絶された俺の痛み、悲しみ、辛み、全てお前のその身体に思い知らせてやる。


「………」

 イルミネーションが街を彩り、夜だというのに駅前は煌々と輝いている。寒さを防ぐために散々着込んできたけれど、刺すような風の冷たさは容赦なんて知らずに吹き荒ぶ。一層身を縮こまらせればなんだか少しだけ寒さが和らいだような気がした。
 今日、俺は決行する。仕事終わりの彼女の後を付け、暗がりに引きずり込んで、俺の痛みを味合わせてやるんだ。彼女はきっと怯える事だろう。あの潤んだ瞳に俺だけを映し、そして身体を震わせながらやめてと叫び……。想像するだけで胸が高鳴った。ここ数年、心が躍るのは彼女に関する事だけだ。
 自然と街中を行く足は急ぎ足になり、直前まで感じていた寒さもすっかり忘れかけていた頃、不意に目の前を男が横切った。すんでのところで身体を捩ることで衝突は避ける事が出来たが、危うくぶつかりかけたことに一瞬憤りを覚える。しかしここで何か少しでも問題を起こせば計画は台無しになりえる。喉元まで出かけていた文句をぐっと飲み込んで、もはやそちらには目も向けずにさっさと目的の場所へと向かおうと、改めて歩みを進めると、今度こそ俺の進行は明らかな故意によって妨害されたのだった。


「なあ、君。そない急いでどこへ行くん?」

「は?……」

 突如俺の肩を掴んで呼び止めてきたのは知らない男だった。

「きみが**ちゃんのストーカー?」




「現行犯逮捕、って感じ?」

「……」

「悪口とかそんな好きやないけど、別にそんなええ女ちゃうで。----くんには勿体ないわ

「……は?なんで俺の名前……」

「え?なんでって、そんなん当たり前やん。好きやから全部知りとうなる。全部愛したいって。なあ、君も同じやろ?」

「は……?何言って……き、もいんだよ!俺を!お前と一緒にすんな!」

「はあ。嫌やわ、人の好意無下にするって、最低や。…なあ、そうは思わへん?」

「な、なんなんだよ……お前、何、なん、」

「まあ、でも、そんな最低な君も、全部愛したるから。大丈夫、安心して」

「や、何、やめ、」

「やあっと捕まえた。もう離さへん。俺のもんや」

2020/12/13 遅すぎた白石

人生の中で最も幸福を感じていたのはいつだったか。
その答えは当たり前に、人によって異なるだろう。親の愛に包まれた幼少期が幸せだったと答える人もいれば何も考えずにいられた学生が一番だと答える人もいる。今が幸せな人もいれば生まれてこの方幸せに感じたことなど無いというような不幸な人間もいるだろう。
人にはそれぞれの人生があって、その人生の数だけの答えがあるのは当たり前のことだ。
だから私も、その質問に対して何も隠さず素直に答えるとするのであれば、こう答えることになるだろう。

「私は、くーちゃんと何も考えずに遊んでいたあの頃が一番幸せだったよ」

涙を堪えて口にした台詞は震える。掴まれた腕は熱く燃えるようで、すぐにでも振りほどいてしまいたいのに彼の掴む手の力の強さがそれを許さない。どうして、なんで今さらこんなこと。必死に堪えていた涙の奥で、滲む視界の先で蔵ノ介が辛そうに、苦しそう、悲しそうに顔を歪めるから、私はもう涙を流すまいとする我慢ができなかった。

「もう、遅いんだよ……蔵ノ介、」

涙が頬を伝って乾いたアスファルトの上に落ちていく。どうしようもない、もう何もかもが遅すぎたから。

「遅いことなんて、あらへんやろ」

2020/12/12 図書室の男の子と白石

「最近、仲ええんやな」
それは唐突だった。静まり返った図書室内に控えめな声が響いてハッとする。ほぼ反射的に本から顔を上げると少し離れたところからクラスメイトの白石が片手をひらひらさせながらゆっくりとこちらへ向かってきていた。
目線が合う。今の台詞はもしかして俺に放たれたものだろうか、疑問に思いながらも確認するように少し辺りを見渡す。しかし周りに俺以外の生徒は見当たらない。いるとすれば少し離れたカウンターで図書委員の生徒が眠そうになにをするでもなくただ欠伸を漏らしてるくらいか。
俺の座る机の前まで来た白石へと目を向けて、小さく首を傾げた。
「ごめん、なんの話?」
白石はどこかばつが悪そうに目線を逸らすとそのまま俺の眼の前の席の椅子を静かに引いてそのままそこへ腰を下ろした。
「財前と。喋ってるの、よう見るから」
「……財前?」
普段の彼からはあまり想像のつかない歯切れの悪い白石の様子と、それから彼の口から出てきた聞き覚えのない名前に怪訝な顔をする。ざいぜん?もう一度その名を復唱して、首をひねるが残念ながらそのような人物に心当たりはない。
クラスメイトにそのような名前の人物はいないし、まず白石と共通の知り合いなんて同級生以外ゼロに等しい。そもそもの話だが白石と俺とは特別に仲がいいわけでもないしこうやって会話するのさえ、三年のこの時期だというのに数える程度の関係だ。その財前とやらと仮に俺が仲が良くしていたとしても、それを話題に話しかけられるほど俺は彼と関係を深めた覚えはなかった。
読んでいた本にしおりを挟んで閉じる。不思議そうに目を丸めてこちらをじっと見つめる白石に悪いけど、と眉を寄せた。「人違いじゃないかな、俺その財前って人知らないし」
「え……いや、でも」
俺のそんな返答を予期していなかったのか戸惑う白石に眉間にしわを寄せる。あまり彼のことを詳しくは知らないけれど、もっとなんて言うか、余裕のある人のイメージだった。クラスでも中心的立場の彼はいつだってまるで王子みたいな佇まいで、何でも卒なくこなしていた。周りからもてはやされようとも決して驕らず、いつもどこか余裕さを携える彼の存在は日陰者の俺には少し眩しすぎたのだ。だから、俺はあまり彼が得意ではなかった。なるべく距離を取りたいと思ってしまうのはそういった先入観からだったのだが、今目の前にしている彼は俺の知る人気者で完璧な白石とは、なぜだか全く、違う人間のように感じた。「白石って、」
変なやつ。そう続けようとして、ふと視界に誰かが入る。机の上に、何冊か重ねられた本が音を立てて置かれた。
「先輩、カウンターに忘れてましたよ」
「あ……ごめん。こっちの本軽く読んだらそっちとまとめて借りようと思ってたんだった。つい読みふけっちゃって」その子は眠そうな顔をしてそっすか。とぶっきらぼうに答える。机を挟んで向かい合う白石と俺との間に本を置いたのは図書委員の男の子だった。
「もうすぐ下校時間か、手続きしないとだよね」
「もう貸し出し手続きしましたから」
いいっすよと続けていう彼に目をパチクリとさせてから、小さく笑った。「ありがとう」
結構な時間を図書室で過ごしているが彼の名前は未だに知らない。ただ後輩ということは上履きの色でわかるので彼の雑な敬語も気にはならなかったし図書室に通う上で、図書委員と一般生徒というそれ以上でも以下でもない関係上で名前はあまり必要なかったのだ。少なくとも、俺は。
「ごめん、あとこの本も借りていい?」
「わかりました。貸してください」
図書委員の子に先ほどまで読んでいた本を手渡す。彼はそれを受け取るとカウンターの方へと向かっていった。
その間ただ黙って話を聞いていた白石にようやく目を向けると彼は何とも小難しい顔をしていたのだった。
「で、ごめんなんの話だっけ?」
「いや…もうええわ。なあ今日一緒に帰らへん?」
「えっ。……なんで?」
「なんでも。俺お前と仲良うなりたかってん」
あかんかな?真剣な眼差しでそう問う白石に、つい息を飲む。綺麗な顔。吸い込まれそうなその瞳から逃げるよう慌てて顔を逸らした。「部長、図書室で口説かないでもらえます?」
「…なんや、図書室じゃなきゃええんか?」
本を片手に戻ってきた委員の男の子は呆れたような顔をしながら白石を部長と呼んだ。白石も特に気にするでもなく普通に受け答えをしている。その2人の様子に、もしや知り合いなのかと2人の顔を見比べた。


Twitter再掲

2020/12/12 大阪弁のジラーチが目覚めた

それはただの気まぐれだった。千年のうち七日間のみ目が覚めるジラーチにとって、この時代で誰の願いを叶えるか決める事はその時の気分によって決めてしまえるほど容易い事だった。この七日間を過ごしてしまえば次に目が覚めるのは千年後。ジラーチからしてみれば寝て目が覚めるだけの事だったが人間からしたら気まぐれで願いをかなえるだなんて、たまったものではない。難病を治すことも資源を無限に生成することも、世界を救うこともなんだって叶えられる。しかし、ジラーチはそんなこと御構い無し。
人間の事情なんて知らん、とつっい数時間前に、ジラーチの目覚めを千年待ちあれこれと画策していた人間たちの前から忽然と姿を消したのだった。「ん? …なんや浮かない顔して、ブッサイクな坊主やなあ。ほな、キミに決めたわ」ジラーチはその種にしては小さな瞳を光らせ背中を丸めて小石を蹴る少年の背後からじりじりと迫っていった。

Twitter再掲

2020/12/12 残酷な白石

白石の、熱を持った掌が躊躇いがちに頬に触れる。その手は少し震えていて、なんでそんな緊張しているみたいな、顔。強張った表情の白石が不思議で堪らなくて、その透き通るような淡い色をした髪の毛に半ば無意識に、手を伸ばした。白石の喉が上下して、音が鳴る。何かを期待するみたいな瞳が、熱を持って、静かに揺れた。

「振ったくせに触れてくるなんて、*は残酷やな」


Twitter再掲

2020/10/12 ニャースと日常

 勉強は好きじゃない。運動もそこそこ。人望があるわけでもないし、得意な事を聞かれても、何も思い浮かばない。していて楽しいことと言えば、なんだろう。ゲームとか、好きな本を繰り返し読んだりとか。あとは家で飼っているニャースと一緒に、軽く散歩に行って、小銭を拾ったりとかは結構楽しいかもしれない。運が良ければ数百円くらい貯まるから、そのお金で、ニャースの大好きなチュールと、自分の分のアイスを、帰りの途中でコンビニに寄って買うんだ。お疲れ、って近所のベンチに座ってちょっと休んで、日が落ちる前には家に帰る。ニャースに勝手にチュールをあげたこと、母さんにはすぐにばれてちょっと怒られるけど、適当に返事を返して部屋に戻ればそれ以上何かを言ってくることはないから大丈夫。
 ニャースは素知らぬ顔でお気に入りの座布団の上で毛繕いをしている。機嫌が良さそうなその様子に俺もなんだか気分がよくなって、嫌いな勉強も少しだけやる気が出る。
 こういうときに、将来何になろうかなってよく考えるんだけど、結局それに答えが出ることは今まで一度もなかった。
 何をしたって普通、平凡。取り柄なんてなくて、好きなことも得意なことも。ましてややりたいことなんて一つだって出てこない。こんな俺だったから、きっと適当な大学を出て、適当な会社に就職して、結局平凡なサラリーマンになるのが落ちなんだろうな。そう漠然と、けれども確信めいて思う。でも、それはなんだか、嫌だった。
 やりたいことも、なりたいものも無いくせに。得意なことも、好きなものも無いくせに。俺は一体何になりたいんだろう。何をしたいんだろう。希望も何もないのに、流れるまま何かになるのが嫌だなんて、なんて俺は**なんだろう。俺はなんて、**なんだろうか。


「にゃああす」

 ニャースが鳴いた。
 はっとする。右手は包丁を持っていた。包丁の刃が左腕にぴったりと沿うようにくっついている。そのまま手を引けば簡単に肌は切れるだろう。俺は一体何をしているんだろう。死にたかったのか、それとも自分自身を傷つけたくなったのか。自分でもよくわからなかった。何を考えていたのかも、よくわからない。肌に当てていた包丁を腕から離して、まじまじと眺める。研いだばかりで刃先は鋭い。俺の腕はきっと、にんじんや大根なんかよりも簡単に切れてしまうことだろう。
 ふと足下のニャースに目を向けた。俺の命を救ったニャースはただ、じっとこちらを見ていた。全てを見透かしたような金色の目が俺を捉えて離さない。そうだ、ニャースは知っているだろうか。俺が何を考えているのかも、何をしようとしていたのかも、そして、俺が何になりたいのかも。全部教えてくれればいいのに。俺の知らないこと、お前ならきっと全部知っているんだろう、なあニャース。


「にゃーす」

 ニャースは答えるように鳴いた。鳴いて、これが答えだ、と自身の答えを誇るように目を細め、そのまま纏わり付くみたいにして俺の足に身体を擦りつけた。
 そうか、やっぱりお前はなんでも知ってるんだな。ニャース語がわかればなあ。包丁を机の上に置いて、屈んでニャースを撫でた。昔に比べて毛並みがあまりよくないのは年をとったからで、ニャースの小ささに今更ながら少し驚いた。額の小判も少し輝きが鈍くなっただろうか、これは磨けば元のようなきんぴかに戻るんだろうか。身体を撫でられ気持ちよさそうに目を閉じるニャースの、額の小判を指で擦ってみるけれど、いまいちよくわからない。今度の休みの日ポケモンショップに行って鋼ポケモン用のアイテムが使えるのか聞いてみよう。そういえば小銭はレモン汁に浸しておけば綺麗になるって聞いたことがあったっけ、まずそれを試してみようかな。

「…レモン汁、買いに行こっか」

「にゃーす」

 ニャースは少しだけ嬉しそうに鳴いた。チュールを一緒に買ってもらえるとでも思っているんだろうか。まあでも、命の恩人なのだから、それくらいは買ってあげなくちゃいけないな。
 まだ日は落ちない。いつの日かしたように、自販機のある細い小道を、ニャースとふたり、屈みながら行く。

2020/09/19 監禁から逃げ出した

まるでずっと呼吸をしていなかったみたいに外の空気をこれでもかというほど、肺いっぱいに取り込んでそして深く吐き出した。


それはほんの数分の間の出来事だった。
空には雲ひとつない澄み切った青が広がり風は冷たく頬を撫ぜる。少しの間ぼんやりとそれを眺めて、無意識のうちに震えていた指先にはっとした。

空気が美味しい。風が気持ちいい。空が高い。
コンクリートに直接触れた足裏から伝わる、刺すような冷たさなんて気にもならないくらい、俺は世界に感動していて、知らず知らずのうちに目に涙の膜が張る。こぼれ落ちそうになるそれを慌てて服の裾で拭った。

ゆっくりしている時間はない。早く此処からもっと離れた場所まで逃げないと。

一歩、二歩と歩みを始める。地面が冷たい、小石もたくさん落ちていて歩くたびに体重のかかる足裏に食い込んで痛い。全速力で走ることなど到底不可能だったけれど、それでもゆっくりと歩く余裕なんてないから俺は小さな歩幅で駆け出す。

2020/09/18 近所の弟分(財前)


私は一人っ子だったけれど、寂しい思いをした事がない。それは近所に住む弟的な存在がいたから。
弟と言っても勿論血の繋がりはないし所詮近所に住む幼馴染なのだけれど、昔から仕事で留守がちだった彼の両親に代わってうちでよく預かっていたから、ほぼ弟と言っても過言では無いと思う。
一個下の、少しだけ生意気な、かわいい弟。

「ひ、かる…」
「なあ。弟やと思ってた男に押し倒されて、どないな気分?」

底冷えするような声。
ベッドの上、まるで貫かんとする鋭い瞳が私をじっと見下ろしていた。

2020/09/18 ねとりねとられ

いや、本当にだめだって、起きちゃうから…
自分が声出さなければ起きひん、静かにせえ
まって、ほんと…に、ちょっ…!

っぅ、…ぁ、まっ、
しい。起きてまうよ、あんたのカレシ
なんで、こんな……

さあ、なんでやろ。こっち、集中せえって
っあ!や、やだ…やめ、


(……ええなぁ、興奮するわ)

.

(本当の被害者は誰でしょう。)

2020/03/18 四角関係

元カレと今彼と幼馴染と

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