「あ、」
いつもより陽射しがやたらと強いなと思いつつ、サングラスをとって目を擦ろうと企んでいた俺は外に出てきて三十分後に家にサングラスを忘れたと言う事実を知った。
トムさんに会う前に気がついてよかった、と安堵の息を吐いたが今から家に戻ると確実にトムさんとの待ち合わせ時間(残り十分)に間に合わなくて、トムさんへと着実に近づいている今、一体どうすればいいのか物凄く悩んでいた。仕事だから断るわけにもいかず、そこら辺の店で新しいサングラスでも買ってしまおうかなんて左右をみてみるものの、こう言うときに限って店がない。全く使えない。苛立ちを覚えつつゆっくりだが着実に足を進めていると、大嫌いな臨也の気配を感じた。
ぴくと反応した俺を通行人がおどおどしつつ通り過ぎていき、俺はたっぷりと二酸化炭素を吐いた。しかしここでやる気をなくすわけにはいかない。携帯電話を取り出して適当にボタンを押してみると、携帯電話は眩い光をだして今の時刻と数字の4がでてきた。待ち合わせ時間まで残り八分。携帯電話をポケットにしまい「早く行かねぇと」ぽつり呟いて少し早歩きをする。
 
「シズちゃん」
後ろから臨也の声が聞こえたが、無視した。あと八分で待ち合わせ場所にはギリギリ着くだろうけどいつもトムさんに待っていてもらうから、一秒でも早く着いておきたいところだから。
「ねえ、なんで無視するの?俺が池袋にいても無視するだなんて、もしかして許してくれた?」「………んなわけねぇだろ。失せろ、俺は急いでるんだ」
臨也はようやく喋ってくれた、と言ったけど俺はまた無視する。今日池袋に来たのは見逃すが今度二回臨也を殺せば問題ないだろう。
スタスタスタスタスタスタ
早歩きしている俺に着いてくる臨也が、すげぇうざいがここで足を止めてはいけない。「待ってよ、一回止まって」「やだ」「なんで…って超早い!走ってないのに超早い!」遅刻するわけにはいかないからな。なんて心の中で呟いて、さらに加速した。今なら風になれる気がする。
 
20101108
結局臨也のうざさに負けて遅刻しました
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -