「…わあ、いい天気だね」

はい、と静かに頷いた千鶴は、僕の隣に並んで歩いていた。

少しは運動しないと体力がおちてしまう、という千鶴の意見から草原に行くことになって、緑に包まれた地をこうして散歩している。
春だから暖かいし、頬に当たる少し強い風も心地いい。


…残された時間は決して長くはないから、なるべく有意義な時間を過ごしたいと思っていたけれど……。
こうしてただ歩いてるだけの時間も、千鶴と一緒ならすごく意味のあるものと思えてくる。


僕らにとって、一秒一秒がとても大事なものだから────。
好きな人と過ごしている時は、涙が出るほど慈しみたい。

「千鶴、ちょっとおいで」

久しぶりに遠出できたのが嬉しいのか、ほころんだ顔をした千鶴に呼びかける。
蒲公英の綿毛や、薄紅に色づいた花弁が舞う。
千鶴の髪に付いた花弁を取りながら、不意に呟いた。

「……………僕、今、すごく幸せだよ」



つい最近まで見上げることのできなかった青空は、今、僕達の目の前にある。
届きそうで届かないけれど、掴めそうで掴めないけれど、

この一瞬くらいは。
吸い込まれそうなくらい青い、綺麗な綺麗な青空を、僕達だけのものにしてもいいよね?



あおぞら
(あの紺青を切り取って)







−−−−−−

『零落ルビー』棗さんから、5万打のお祝いに青空沖千をいただいてしまいました…!
というのも、私が日記で“青空が沖千のイメージカラー”とこぼしたところ、棗さんが同意してくださり、こうしてかたちにして祝ってくださったのです。幸せすぎる…。

風と青空、ほんのささいな日常の切なさを伴う幸せ。二人を包むこのあったかさと切なさがたまらなく好きです。わ、私が泣く…!

日記でこぼしたただの妄想をこんなに素敵なお話にしていただけて、その上お祝いまで…本当に本当に嬉しいです…!ありがとうございました!


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