『Happy Halloween』
「とりっくおあとりーと!!!」
「え?あー…はい」
今日絶対言うと思ってましたよ、と溜め息を吐いて、
ポケットから飴を1つ取り出して、浜野くんの手の上に置いた。
「えー…ちょっとくらい驚いてくれたっていいじゃんかー。ちゅーかまさかの予想してた感じかよー?!」
「普通に気付きますよ。昨日神童くんに発音とか教えてもらってるの見かけましたから。」
「なんだよ、つまんねーの。」
「浜野くんは単純ですからね。」
「ちぇーっ」
昨日あんなに必死に神童くんに教えて貰っていたのに、発音が日本語風。
紙などに書いて表す時に、片仮名や英語ではなくまさに平仮名で書くような、
英語全く話せませんというような可愛らしい発音。
そんな浜野くんは可愛いと思う。
「もう速水ごと貰うー!」
自棄になってそう言いながら抱きついてきた。
「はい?!」
俺はいきなりだったからすごく驚いて、浜野くんを振り払った。
「うーーー………ちゅーか、気付いてても多少は驚いて欲しかったなあ…」
「すいませんね」
「しゃーなし許すけどさあ…だから速水ごと貰うんだよ」
「はあ…意味分かんないですよ浜野くん…」
「いいんだよ!速水はもう俺のもの!」
「何でですか」
「速水は俺が頂く!☆」
「ちょ…だから意味分かんないですよ」
「速水がずっと俺と居てくれたらそれでいいんだよ。」
「そうですか…まあ俺は浜野くんから離れるのは少し難しいと思いますよ。」
「……………」
そしたらすごく嬉しそうな顔をして
「速水ーーーーーーー!!!!!!♪」
と叫びながら思いっきり抱きついてきた。
「!」
今度は振り払えなかった。
むしろ振り払わなかった。