快楽へ誘拐 | ナノ

(そこはかとなく事後)



とけてしまうのだ、あつくて。


緩やかに震える睫毛の隙間から切り取る向こう側は重そうな青をそうろり、と太陽が持ち上げ始めていた。そいつは眠気もゆうるり、と持ってきて。ああねよう、という意識でさえ掴まえさせてくれなくなって、瞼の裏で白の残像が弾みながらなにもかもを溶かしていく。
ふいに薄い膜越しにひどく生温い感触を感じて意識を引き上げられそうになったのにどきりとする。このまま溶けたい俺はぱさ、と髪を揺らして拒絶を示す、目はシャッターが重過ぎて開きそうにない。

「ふふ、」

何が楽しいのか全くわからないから笑い声が落とされても受け止められない、口は乾きが栓をしていて開きそうにない。

じたいはたいへんにしんこくである

ぼんやり浮かんだ言葉を飲み込むことさえできないぐらいにはもう思考は溶けていた。第二者の舌先は栓を抜きたがったのである、ゆっくり触れる濡れた感触にぺろりと乾きを拭われて、溶ける前に食べられてしまうのだろうなあと再構築された脳でもう一度熱に熔かされるのを望むことにしてゆうるりシャッターを開けて目の前のやつの唇に噛み付いた。

「いいんですか、」
「えーよ、どうぞお好きにしたって下さい、わかせんせ」
「ふふ」

嬉しそうに厭らしさを纏わせて笑う声を唇でちゃんと受け止めてあげる。わざわざ綺麗にした躯をまた汚したがる思考に満足してしまう溶けたがりな自分にどうしようもない、と感想をひとつ落として快楽に身投げした。



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夜布団に入りながら作文するとこんなテンションな文になります、謎なんだぜ

そして勝志摩や燐廉より先に雪廉を書くとは自分でも思わなかった…


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