雨過天晴
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扉がノックされる。
「はい」と小さい返事が聞こえたあと、そっと扉が開かれた。
「…ランサー」
「おう、時間かかってんな。
…倒れてんじゃねえかって心配になって」
「…そんなの、魔力で解るでしょう。何か?」
「いや、待ってたら陸上部の嬢ちゃんたちが、
名前を迎えに行けってしつこくてよ」
「、そう、ですか…」
「…着替えたの、か」
「…………、ランサー、あ、あの」
名前は、廊下をきょろきょろと見渡すと、
ランサーの手を引いて、部屋に招き入れた。
「おいおい、何、…だ………」
パーカーを羽織っている名前。
その前のジッパーはあけられている。
来ている水着は、例のビキニ。
ランサーは。
「……………、」
ガラにもなく、真っ赤になっていた。
「…なにか、言って、くださいよ…」
「…いや、その、……、悪い」
「いえ、…いいんです、けど。それじゃ、先に行ってますね」
外へ出ようとする名前の腕を、ランサーが掴む。
「待て待て待て!お前それ、それで行くつもりか!」
「着替えて来いって氷室さんに言われてましたし、
この後、外でバーベキューですし、みんな待ってます、し…」
「その姿を、アーチャーやディルムッドにも、見せる気か」
う、と名前が一瞬詰まる。
「…着替えろ」
「え、いや、あの、…」
「見せたくねえ。名前の…お前のこんな姿、
他の誰にも見せたくねえ」
その一言に、今度は名前が真っ赤になる番だった。
「おっ!おかえりー!」
ランサーと戻ってきた名前に、蒔寺たちが群がる。
名前は、ミントグリーンのワンピースの水着を着ていた。
「苗字嬢、…首尾は?」
氷室の一言に、はっ、と残りの二人も気づいたようで、
そっと名前の顔色をうかがう。
「…ありがとう、ございました…」
真っ赤になってお礼を言う名前に、
三人娘もご満悦だったようで。
名前がそっと振り返ると、
凛も桜も、やっぱり気づいていたようで。
「…あはは、みんな、大げさだなあ…」
名前は苦笑い。
バーベキューの準備を手伝いに、士郎たちの元へ向かった。
ゆっくりと、日が暮れていく。
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