春樹は恥ずかしげに頬を染め、頷く代わりに男の下肢にそっと手を伸ばした。
勃ち上がっている肉塊を優しく包めば、ビキリと一気に芯を硬く尖らせた。
脈打つのを手のひらに感じながら上下に動かしていく。


「…ねえ、俺のこと、好き?」

「当たり前じゃないか…ずっとこうしていたいよ…。春樹、どうしたんだい急に」


問いかけには応えず、春樹は身を起こすと、男の下肢に顔を寄せた。
醜悪に勃起した肉棒を優しく咥え、唾液をたっぷりと擦り付ける。
大きな姿は更に膨れてガチガチに堅くなり、春樹は頬ずりして男を見上げた。


「…監督は、自分の立場を利用して俺を手込めにしたひどい人だもの…信じられない…。なのに、こんなに貴方を好きになるなんて…。もし捨てられたら…――俺、おかしくなっちゃうよ…」

「ああ…っ、春樹…!」


いじらしく男の寵愛に怯えた春樹に、男はたまらないと襲いかかった。
乱暴な仕草で組み敷いて押さえ込み、未だとろけたままの熱い胎内へと一気に突き込んだ。
高い悲鳴を上げて春樹が身悶える。
その唇を吐息ごと何度も奪い、夢中になって腰を振る。
自分の“雌”を蹂躙して征服している事実に、男は激しい快感に狂っていた。


「はぁ、はぁっ、ああ春樹、私の可愛い雌(おんな)っ! 誰が手放すものか…っ、お前は私だけのものだ…ッ!」

「アっ、あん、あー…っ、うれ…し…っ、監督、俺のこと、もっと愛して…、あっ、あっ、あんッ、いっぱい、エッチな子になるからぁ…っ」


好き、好き、とすすり泣く。
逞しい男の首筋に腕を絡めて抱き縋り、その耳元に甘えた声で繰り返す。
興奮してますます乱暴に掻き回してくる男に、春樹は耳朶を咥えて舌を這わせた。
快感に潤んだ瞳をうっとりとさせ、けれどその奥で静かに光る春樹の情念。

――好きだよ『監督』。


「あぁ…っ、あんっ、ん、監督…監督ぅ…ッ、あっ、すき、すき、あっあっ、好き…ッ」


あなたの権力が好き。
あなたのお金が好き。
上質なコネクションが好き。

( だから、ほら、もっと俺に溺れて )

この男は春樹が俳優として業界を生き抜くためには必要な存在だ。
もしこの先、自分のように騙し討ちをしてまで、手込めにしたいと思う若手が出て来たら…。その相手に夢中になって蔑ろにされたら…。
やっと仕事が安定して俳優の確固たる座を掴み始めたのに、今さら放り出されても困る。
女も抱けない身体にしたのだから、責任は最後までとってもらわなければ…。

どこかの誰かに目移りなんてさせない。
逃がしてなんてやらない。


「あァっ、あっあぁんッ! あ、だめ、だめ、イっちゃう…イっちゃう…っ!」

「は、はぁっ、ああ…春樹…っ、良いよ、ほら、イけ、イケ…っ!」

「ひぁ、あっ、あーっ、あぁー…ッ!」


絶頂に自分の性器から白濁をまき散らしながら、搾り取るように男を締め付ける。
犯される感覚が気持ちいい。
悦楽にうっとりと心も体も震わせながら、春樹は意図を持って繋がり合った窄まりを収縮させた。

( もっと俺に溺れて、もっとお仕事持ってきて。ほら、俺の身体、良いでしょ…? )

春樹は演じる。
男の毒牙にあいながらも、雌になることを受け入れ、健気に愛を捧げる『長谷川 春樹』を。
解けないほどもっと絡め取るために、この男が喜ぶ態度と言葉を選んで見せ付ける。
そうすれば、煽られたケダモノが、ケダモノらしく腰を打ち付けてくる。

頭も身体も激しい快感に犯され、春樹はうっとりとその身を明け渡した。


end

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