激しいが決して暴力的じゃない。
我欲を満たすだけに、オナホールや捌け口として扱われているわけじゃない。
優しく落とされる唇も、触れてくる指も、眼差しの奥にある熱も、…初めて犯されたあの日から変わらないままだ。

(こんな風に抱かれるのが…嬉しいだなんて、言えないけれど……)

口に出来ない代わりなのか、体が過剰なほど敏感に反応してしまう。
一見、穏やかで冷静な男が、箍が外れたように春樹を求めてくる。
生々しい欲望を隠しもしない。
本能のまま求められることが嬉しくて、気持ち良くて、淫らに反応してしまう。


「あっ、あっ、あっ、んぅ… は、はぁっ……、あ、ああぁ〜〜…ッ」

「…は…っ…、…春樹…っ」

「ああ…ッ! あ…っ、あ…っ、あ……あぁん…っ! …梶原さ…きもち…、気持ちいぃ…ッ」


女の嬌声のように濡れた声音で喘いで、はしたない言葉を口にする。
紛れもなく本心なのだから、抑えることも出来ない。
決して言えない言葉の変わりに、春樹はあられもなく淫らな声をあげた。


「梶原しゃ…ぉく…、奥、…変になるとこ、、して……ッ」

「っ、ん…っ、…この前は、怖いって泣いてたのに…今夜は“入って”いいんだな…?」

「ら、って、…んんぅ…ッ、」


欲しい、全部、彼が欲しい。
隙間なく全部埋め尽くして欲しい。
残さず食らって、身体中に消えない跡を刻み付けて欲しい。

(ねえ、だって、  なんだ……)

腰がいっそう深く沈み、下半身がベッドに押し付けられる。
ぬらぬらと濡れた亀頭が抉じ開けて“入って”くる感覚に、春樹は声にならない悲鳴をあげた。
ぐぽん、と腹の内側で鳴った瞬間、身体とシーツの間で泣いていたペニスが、漏れるような射精をした。
全身が跳ねて震える。
締め付けてくる内壁を硬いペニスで押し広げて擦り、こちゅ、こちゅ、と抉じ開けた窄まりをカリで何度も引っ掻いた。


「っ〜〜…!! んんっ、ひ、ぃ…っ、、あ、ひ、…あぁ…っあー…」

「春樹…っ、ここ、怖くないか?」

「な、い、怖くな…、……っあ、あ、あー……、、気持ちい、いい…っ」


涙でにじんだ世界がチカチカと光る。
押し付けられたベッドごと激しく揺れて、捩り込まれる。
――熱が広がった。
背中に彼の肌が重なりあう。
太く筋肉質な両腕にしっかりと抱かれ、項に歯を立てられ、ビュクビュクと注がれる。

(あ…あ…っあ…、いっぱい出てる…、俺の中で…、……嬉しい…)

最後まで奥へと射精した梶原が、ゆっくりと腰を引いた。
ひくひくと震えながら、春樹は首を振った。
出ていこうとしたペニスに絡み付き、締め付け、引き止めようと蠢いている。


「…そんなに締め付けなくても、まだ離してやらない…。ほら、春樹…次は前からしよう」


両足を大きく開いて、その間に押し入ってくる梶原を、うっとりと見上げた。
その熟れて蕩けた瞳は雄弁で、隠しようのない思慕できらめき、情愛が溢れるように涙をこぼした。
同じように瞳の奥を燃え上がらせた男が、春樹を見下ろす。

(――…しあわせだ…)

このままずっと囲われていたい。
手遊びのような関係でもいい。
未来はどうなるんだろう。
どこへ落ちていくのだろう。
いつか終わりがきた時、この人無しで生きていけるのだろうか。


「梶原さ…もっと…、お願い…もっとシて…、お願い…」

「ああ…何度だって…。俺の可愛い春樹、抱き潰しても許してくれる?」

「ん、うん、良いよ…、いっぱい抱いて、早く、お願い…、っ…――あっ、あ、あぁん…っ!」


硬いペニスが一気に打ち込まれる。
空白を満たされる快感に、今日もまた、深みへと堕ちていく。

誰が何と言おうと、何と思われようと、春樹は幸せだ。
たとえ次の瞬間に首を絞められて殺されても、一欠片の未練もないほど。

夢のような幸福を感じながら、うっとりと微笑んだ。


END

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