姫子と兄とは6歳の年の差があった。

面倒見がよく、友達と遊びに行くこともあるが、よく姫子の相手をしてくれていた。
小さな頃は本の読み聞かせやおままごと、縄跳び、お絵描きにもつき合ってくれていた。
兄が中学に上がった頃の遊びのほとんどは、押入の中に2人一緒に入り込んで、親たちを鬼に見立てたかくれんぼだった。

――たった2人で遊んでいたその“かくれんぼ”が、ただの遊びではないと気付くのは早かった。

男よりも女の方が早熟と言われているから、それも当然だ。
押し入れへと2人で入っていたその時間、兄は妹の肌へと触れていた。
服の下へと潜り込ませた手で素肌を撫で回し、髪や体臭の匂いを嗅ぎ、そして何も知らない姫子に硬くなったペニスをさすらせた。
思春期とともに精通を迎えた兄は、身近な異性へとセクシャルな興味を向けたのだ。
女性とは言い難い幼い女児の薄い体は、それでも作りが男とは違う。

『“かくれんぼ”だから、姫子、声は出しちゃだめだからな』

兄妹でする遊びじゃない。
そう姫子は察していたが、姫子もまた好奇心のまま、その“遊び”を続けた。

兄が高校を卒業し、都心の大学へ進学するために家を出たのをきっかけに、2人の間でこの遊びは無かったこととなった。

――その兄が3年振りに帰郷した。

21歳の大人の男となった兄。
中学3年の15歳の妹。


「姫子、久し振りに兄ちゃんと遊ばないか?」

「…うん、いいよ」


無かったことになっていた筈の遊び。
再会して沸き起こった性衝動は、兄妹の枠を越えて、男と女としてお互いに向いてしまったのだった。


* * * * * * * * *


懐かしい押し入れ。
古くさい匂いのする、暗い小さな空間。
お互いの成長もあって、あの頃よりずっと狭くて身動きもまともに出来ない。

汗ばんだ肌を兄の手が這っていく。
あの頃だって大きかったその手は、節くれだった無骨さが目立ち、すっかり大人の手そのものになっていた。
姫子の薄かった女児の体は、二次性徴を迎えて柔らかなものに変わっている。
まだ“女”とは言い切れない少女だというのに、柔肌は既に“男”を知っていた。


「お前、処女じゃないんだな。まだ15だってのに…」

「…っあ…はぁ… こんなに体にしたのお兄ちゃんじゃない…エッチなことに興味持たせた、お兄ちゃんのせい…」


姫子の少女の膣を弄っていた指が抜かれる。
ぐしょぐしょに濡れたショーツが両足から引き抜かれた。
狭い押し入れの下段の中で背中を丸め、もたつきながらスウェットと下着をずり下ろしている。
締め切ったこの暗い個室で目が慣れてきたとは言え、お互いの詳細なんて分からない。
押し殺しきれない荒い呼吸、吐息、衣擦れ、いやらしい匂い。
それらが充満した押し入れの中、姫子は手探りでまさぐってくる兄の手に興奮していた。
よりいっそう体を寄せてきた兄が、腰を押し付けるようにのしかかってくる。

(…あ…っすごい…ガチガチだ… 先っぽも濡れてる…)

吐息がぶつけるその距離で、せわしなく繰り返される上擦った呼吸。
広げられた姫子の両足の狭間で身動ぎ、濡れた高ぶりを押し当てて入り口を探っている。


「…本当に…入れちゃうの…?」

「入れるよ。もう遅い、今更だ。……姫子、ほら、…ここだろ?」

「…っぁ…、うん…そこ…」


倫理も理性も既に兄の頭にはない。
今ここにいる姫子は妹ではなく、犯してしまいたい“女”だ。
数年前から手垢を付けてきた体。
ヌルヌルと滑っていた亀頭が、くぷっ、と沈められた。

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