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相変わらず翔先輩に手を引っ張られながら、誰もいない校舎の中をずんずんと進んでいく。さすがおぼっちゃま校、とでもいうべきか、校舎の中は隅々まで手入れが行届いていてとても綺麗だった。
誰もいないのは、まだ、学校が始まってないからだと翔先輩がちょっと楽しそうに笑う。確かに誰もいない校舎を独り占めしているみたいでちょっと楽しい。

「よーし、コタ!エレベーター乗るぞー!!」

「はい!先輩!」

気分は冒険しているみたいで、意気揚々とエレベーターに乗り込む。目に入るずらぁっと並ぶボタン。おい、この学校いったい何階まで作ったんだよ。
聞くと地下もあるらしくて、思っているよりこの学校は広いらしい。

「はぁいお客さまぁ、こちらの先をずんずん進んで頂くとぉ、理事長室がございますぅ」

悪ノリした翔先輩がエレベーターガールの真似をしだす。可愛らしい外見にあまりにもはまっていてツボに入って笑いが止まらなくなる。
自分でやった癖にいつまでも笑われるのが気に食わないのか、翔先輩に頭をべしっと叩かれた。痛い。

「さて、ここが理事長室だが、覚悟はいいかね?後輩くんよ」

「えっ、っていうかなんか覚悟しなきゃいけないこととかあるんですか……?」

「うーん、あるっちゃあるんだけどー……まいっかー!伯父様ー!翔ですー!失礼しますねー!!」

バーンといわんばかりに豪華な造りの重そうな扉を開け放つ。
勢いよく開くわけでもなくゆっくりゆっくりと開け放たれていく扉の先には、黒と赤を基調にしたスッキリとまとまったおしゃれな部屋があった。


そして俺は、血縁ってモノは凄いんだなあ、とつくづく思った。

 

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