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律動の共鳴【前編】(影山)

先日の件から妙に名前から警戒されているように思う。
いつもと変わらねえように見えて何かが違う。
別に気不味くなりたくてあんなことしたわけじゃねえのに…
バレー以外で悩み事なんかなかった俺の中で、後悔にも似た複雑な感情が燻っていた。

「おい、聞いてんのかよ」
「……」
「名前!」
「!?」

折りたたみテーブルを出した俺の部屋で菓子を広げながら課題のプリントを進めていると、この程度の問題いつもなら滞ることなくスラスラと終わらせてしまう名前が珍しく問題を解きかけたまま手を止めていた。
軽く声を掛けても全く反応がなく心ここにあらずと言った感じのコイツに仕方なく声を荒らげると思いの外吃驚したようで、跳ね上がった肘がテーブルの端に置いていたペットボトルに当たり床へと転がって行く。
残り少ない中身がちょろちょろとカーペットを変色させて行く様に思わず溜め息を吐いた。

「溢れてんぞ」
「ゲッ、ごめん!」

テーブルの角を挟んでL字に座っていた名前が慌ててペットボトルをテーブルに戻し俺の後ろに転がっていたティッシュ箱へと手を伸ばす。
瞬間、ふわりと広がるシャンプーの甘い香り。
気付けば俺はその腕を掴み自分の方へと引き寄せていた。

「ちょっ…何すんの」
「…別に」
「早く拭かないと…」
「それ水だろ」
「そうだけども…!」

何かしてやろうとかそんな考えの下動いたつもりは全くなくて、ただただ自然と誘われるように掴んだ腕がこんなにも細いだなんて思ってもいなかった。
それに加えて身体を捻り顔を背ける名前にこの前と同様の形容し難い衝動が背筋を駆ける。
視界の端で行き場をなくした細い指先が力無く宙を掴んだのが見えた。

「…付き合ってんだからこう言うことしてもいいんじゃないですかコラ」
「飛雄のクセに何言ってんの」
「いつまでもやられてばっかは腹立つし…」
「今まで飛雄が私に勝てたことある?」
「これからは負けねぇ」
「…っ、」

圧倒的な力の差に悔しそうに奥歯を噛み締める名前。
その泳ぐ視線の先を追いかけると最終的にベッドの下に行き着いた。
虫でもいるのかと身を屈め覗き込もうとするもそれより早く腕の中のコイツが口を開く。

「…飛雄はさ、私をオカズにシたことある?」
「はあ?!」

あまりに突拍子もないことを言い出すもんだからつい変な声が出ちまった。
付き合い出して間もない頃自分から色々手ぇ出して来たクセに今更なんだよ…
そう思いつつも明らかに威勢を失っている名前から権力を取り戻すチャンスは今しかない。
そう思い立ち、俺は覚悟を決めた。

「……俺が今まで頭の中でお前にしてたこと、教えてやるよ」

お誂え向きに今日は遅い時間まで両親は不在だ。

**********
続きます

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