short | ナノ






Morninng girl



「キングさんジョーカーさんおはようございます朝ですよ!!」
「うるせーな起きてるよバカアイリス」
「騒がしいな……毎日来て平気なのか、アイリス?」
「起きてると思いながら来ました。バカは否定しませんがそこの幽霊さんよりはバカじゃないとおもうのですがとりあえず朝ごはん作ってください」
「アイリス! 貴様王に食事を作ってもらうなど…!」
「またいたのかよ。さっさと消えろそして二度と現れんな」
「ああ! 王は今日も素敵ですね。そこの根暗や小娘なんかと一緒にいるのはもったいない!」
「うるさいなあ。小娘って…死に底ないなのにね、エース君は」
「いいからエースは消えろ。ついでにアイリスも帰れ。お前の朝食なんて作らねえ。朝食くらいチカに頼めよ」
「チカさんてば、朝はアルと二人っきりの時間だって追い出すんですもん。私お金持ってないから外食もできないし」
「じゃあその辺でエースと一緒にくたばっとけよ」
「エース君と一緒にしないでください」「小娘と一緒なんて!」
「「……………」」
「ジョーカー、できたぞ」
「ああ……アイリス、食べるか?」
「おい、」
「え? ほんとですか? きゃっほー、ジョーカーさん大好き」
「おいジョーカー」
「今日は食欲がないんだ。安心しろ、全部はやらない」
「そういう問題じゃないだろ」
「いいじゃないですか。ジョーカーさんはキングさんと違って器が大きいんですよ」
「小娘の分際で王になにを言っているのだ! しかしジョーカーとアイリスなら二人まとめて外にぽいっと、」
「お前を捨てる。さあ早く消えろさもなくば何度でも殺してやるぞ」
「ああ、王に殺されるなら本望です!」
「エース君て、なんでそんなにキングさんのこと好きなんだろうねえ。好きになる要素なんてひとつもないと思うけど」
「小娘に王の素晴らしさがわかるはずありませんからね」
「アイリス、てめーもさっさと帰れ」
「嫌です。いざとなったらお風呂場に引きこもります。使えないようにしてやりますよ」
「どんな反抗だ」
「というか今日一日くらいなら困らないが」
「む…まあいいです。朝食を頂いたら帰ります。あ、キングさんお水下さい」
「その前に帰れよ。お前にやる水はない」
「ケチですね。ジョーカーさんお水下さい」
「ジョーカーやるな」
「ほら」
「やるなっつってんのに!」
「ありがとうございます」
「…………ジョーカー、俺は今猛烈にアイリスを殺したい」
「やめてくれ。食事中だ」
「食べ終わったらいいのか?」
「駄目だ。アイリスを殺したらチカに仕事を頼みづらくなる」
「あーめんどくせーな!」
「キングさんお願いですから殺さないでくださいね」
「殺して―けど殺さねーよ」
「いえ、私ではなくてチカさんやジョーカーさんをです」
「もっと殺さねーよ!」
「なんですか、私の価値はそんなに低いんですかそうですか」
「やっとわかったかバカアイリス」
「…二人とも、そういうのは外でやってくれ」
「俺はこいつがさっさと帰れば気にしない」
「私だって帰りたいですよ。いつキングさんに殺されるか気が気じゃないですからね」
「じゃあなんでアイリスはキングにつっかかるんだ?」
「ほんとだよ。自覚があるなら黙って出てけよ」
「反射ですね」
「反射かよ」「反射って…」
「ごちそうさまでした。キングさん相変わらず料理の腕はいいですね。明日も来ます」
「結局食ってるし。来るな、二度と来るな」
「ジョーカーさんありがとうございました。明日は私の分も用意しておいてください」
「しねーよバカ」
「考えておく」
「考えるな」
「しかし、」
「ねえアイリス来てない…って、やっぱりここにいたのね」
「あ、チカさん。おはようございます」
「おはよう」
「チカ、そいつを今すぐ連れて帰って家に監禁しとけ。二度とここに来させるな」
「チカ、朝食くらい用意してやれ」
「チカさん、二人とも無視でいいですよ」
「…やれやれ。アイリス、帰るわよ」
「はいー。それではおじゃましました明日も来ますね」
「本当に邪魔だったから二度と来るな、金輪際来るな」
「ああ……」


「「……疲れた」」


***


「アイリス、今日も朝食食べてきたの? いつもよく行くわね」
「楽しいですもん。キングさんってばなんだかんだいって私のこと殴ったこともないんですよ。キングさん実は優しいんじゃないか疑惑が浮上中です」
「それはないわ」
「ないですか」
「ないわ」
「まあいいか。ジョーカーさんがいれば殺されませんし」
「あんまりキングを怒らせちゃ駄目よ」
「わかってます」
「それにしても、朝食くらい食べてから行けばいいのに」
「いいんです。毎朝行くと寝起きが見られたりするんです」
「そうなの? というかそんなの見てどうするの?」
「エース君に自慢してやります」
「……嫌な子ね」
「えへへー。それほどでもないですよー」
「これっぽっちも誉めてないけどね」





***

原作・飴さま「13」
 →candyofpoison