short | ナノ






King or Joker?



「………キングとジョーカーだったら、どっちの方がかっこいいんだろうね」
「は? アイリス、とうとう頭可笑しくなったか?」
「キング、それはいくらなんでもひどいが確かにどうしたんだ、アイリス?」
「二人とも失礼ね。まぁ……特に理由はないんだけど、二人ともかっこいい…から?」
「そこで疑問形かよ。殺すぞ」
「そうか?」
「キング物騒ー。じゃあキングは自分がかっこいいって自覚してるんだ?」
「いや。まったく」
「ジョーカーは絶対してないよね。ていうか二人とも鏡で顔見たことある?」
「あるぜ。そこの割れた鏡で」
「ああ。以前キングが割ったものだな」
「ちげぇよ。あれはエースがそこから出てきたからだ」
「って言っていると来ちゃうから黙ろうねキング」
「ああ。間違いなく来るな」
「お呼びですかキン――」
「来るな帰れ死ね殺すぞ」
「ああ、もっとお言葉を下さい!」
「ジョーカー、ちょっと出かけてこようか? キング、忙しそうだし」
「いや、エースが帰らないと俺も――」
「アイリスてめー後でぶっ殺す」
「お邪魔虫は二人ともさっさと去れ!」
「邪魔なのはお前だ!」
「ちょ、真面目にエース駄目。生理的に受けつけられないジョーカー助けて」
「どう助ければいいんだ?」
「せめて部屋を移動しよう!」
「動いたら殺す」
「ジョーカーも?」
「アイリスだけに決まってんだろ」
「キング、とりあえずアイリスだけ別室に行かせていいか?」
「むしろアイリスは帰れよ」
「アイアムホームレス!」
「道端で寝っ転がってろよ」
「ていうか気がついたらいないね、エース」
「ああ、本当だな」
「よし。アイリス、気分がよくなったから飯作ってやるよ」
「やった! キング愛してる!」
「……気持ち悪い」
「……全身に鳥肌が立った」
「………ジョーカーにも言おうか?」
「遠慮する」
「二人とも失礼ね、憤慨だわ心外だわ」
「へーへー」
「キング? どこへ行くんだ?」
「買いだし。食いもんもうほとんどねぇから」
「まじですかキングさんあたしを置き去りですかジョーカーと」
「じゃあ帰れよ」
「まあ冷たい!」
「……キング、早く帰ってきてくれ」
「ああ。………たぶん」
「ごめんジョーカー嘘。あれ嘘。冗談ですアイムソーリー!」
「五月蝿ぇ!!」
「キング、行かなくていいのか?」
「あ、ああ。行ってくる」
「じゃあキング、部屋の中改造しとくね!」
「すんなバカ!」
「いってらっしゃーい」
「……行った、な」
「うーん、ジョーカーと二人っきりか。何する? しりとり?」
「何かする必要があるのか?」
「いや、ないけど。つまんないんだもん。構ってよ」
「チカのところにいけばいくらでも構ってもらえるだろう」
「アルいるんだもん」
「ああそうか」
「ああそうかじゃなくて突っ込んでよ」
「ああ言えばこう言うな」
「うん。構ってほしいんだもん」
「小動物なのか、アイリスは?」
「なにそれ?」
「小動物は寂しいと死ぬらしい。試したことはないが」
「そうなんだ! じゃあ、ジョーカー絶対構ってね。あたし死ぬから」
「アイリスは爪が綺麗だよな」
「さらっと流したーっ! しかもそれってあたし死ぬ感じ!?」
「いや、ただ思っただけだ」
「ジョーカーって地味に怖い」
「そうか?」
「そうだよ、うん」
「…そういえば、結局アイリスはどう思うんだ?」
「何が?」
「俺とキングだったら…いや、なんでもない」
「ああ、さっきの話? どうだろうねー。あたし黒髪も金髪もそこまで好きじゃないし」
「………」
「ジョーカーとキングが嫌いなわけじゃないからね?」
「…ああ」
「そうだなー。絶対どっちかって言ったら…キング」
「…そうか」
「ジョーカーももちろんかっこいいんだけどさ、あれ、いつも眉間にしわよってるじゃん」
「それだけか?」
「いや、まだあるけど」
「何だ?」
「んー…言わない」
「アイリス?」
「秘密にしとく。遺書にでも書いとく」
「縁起でもないことを言うな」
「ごめんごめん」



でも、他の人に貴方のことを知られたくない。

なんて言ったら笑うでしょう?





***

原作・飴さま「13」
 →candyofpoison