彼らの恋愛事情 あら折原君、こんにちはご機嫌いかが？ 私はまあまあね。 ところで、丁度貴方を探していたのよ。あら折原君も？ 奇遇ね、私達相性がいいのかしら。ええ、相性はいいでしょうね。だってそうでなくては私が困るもの。え、貴方も困るの？ そうね…折原君も話すことがあるみたいだし、屋上かどこかへ行きましょう。 それにしても、前々から聞きたかったのだけれど、どうして折原君は学ランなのかしら？ いくら制服が自由だからといって、何も学ランを着なくてもいいのじゃなくて？ 私？ 私のことは気にしなくていいのよ。だって今は貴方の話をしているのだもの。 ああそれとね、なぜ自分から平和島君に喧嘩を売るの？ とてつもなく面倒になると知っているのに、何故貴方は止めないのかしら。中毒？ それとも喧嘩するほど仲がいい、かしら？ 折原君、貴方に欠点があるとすれば、それはそこね。ええ、ナルシストも欠点かもしれないわね。でもそんなことは重要じゃないの。問題は、貴方がやたら愛想いいから、どんな女の子も騙されてしまうのよ。詐欺ね。将来、結婚詐欺でもしたらどうかしら？ 面倒くさい？ 貴方って、結構面倒くさがりよね。 うん？ 嫉妬？ そうね、そうかもしれないわ。でも、自分で言うのは何だけれど、私、これでも綺麗なほうだと思うの。だから、折原君と一緒に歩くくらいには釣り合っているのじゃないかしら。ええ、そうね、これこそナルシストだわ。でも認めてくれて有難う。お世辞じゃないと思っておくわ。 それより、屋上に向かっていないわよね。貴方、何所へ行こうとしているの？ 空き教室なんて、無いと思うけど。じゃあ外？ 貴方、根性据わってるわね。まだ二時限目よ。優等生の折原君は、授業をサボらないんじゃないかしら？ 私？ 別に、優等生ではないわよ。貴方のほうがきっと頭いいでしょうし。ええそうね、平和島君と喧嘩なんて馬鹿な真似はしないわ。第一、私みたいにひ弱な女が喧嘩なんてできると思う？ 人は見かけによらない？ そうね、でも私は見かけ通りだと思ってくれて結構よ。 ねえちょっと、さすがに疲れてきたのだけれど。どこから歩いてきたと思っているの？ 三階の端よ。今、一階の端っこじゃない。次の授業に間に合わないわよ。私は、折原君が教えてくれるならいいけど。テストで赤点取らなければいいのよ。簡単じゃない。何が難しいのかしらね。私にはさっぱりわからないわ。 ああ、もう面倒だわ。私、折原君のこと言えないわね。 折原君、いい加減にしてくれないと私教室に帰るわよ。それで放課後折原君を訪ねるわ。ええ、そうよ。だって大事な話なんですもの。ああ、こんなことなら、立ち話でもよかったわ。 あら…平和島君じゃない。逃げ…るのね。じゃあ、放課後訪ねに行くから。 ＊＊＊ おや、桔梗じゃない。機嫌？ 今日はいいかな。桔梗は？ 奇遇だね、俺も桔梗を探してたとこだよ。相性？ いいんじゃない？ だってじゃなきゃ俺は困るからね。どこかね…いいんじゃない？ なに？ なんで学ランかって？ まあ、気にしないでよ。それより桔梗は？ なんでいつも大正時代みたいな恰好してるのさ。気になるんだけどね。 シズちゃん？ さぁねー、向こうから喧嘩売ってくることが多いし。まあ、強いて言えば存在がウザい、かな？ 俺の欠点？ ないんじゃない？ …嘘だよ。ナルシストかな…俺は自分が好きだし、自分以外の人間も好きだよ。もちろんシズちゃんは除いてね。ああ、もちろん桔梗も好きだよ？ そうじゃない？ どれ？ つまり俺がかっこいいってことかな？ 詐欺？ 面倒だから、別にいいかな。俺はもっと楽しく生きたいね。 それより、そんな話して、嫉妬かい、桔梗？ ほんとに自分で言うのは何だね。それこそナルシストじゃないのかな？ でも確かに、桔梗はそんじょそこらの女子より綺麗じゃない。スッピンでしょ？ ああ、屋上って告白スポットだからさ、人多そうだし。空き教室でも行こうかなと思って。ないかな？ じゃあ外行こう。優等生？ まさか！ それをいうなか、桔梗のほうでしょ。そうだね、でも桔梗はシズちゃんと喧嘩とかしないでしょ？ どうかな、人は見かけによらないからね。あ、そう。 うーん、そんなに歩いてないと思うけど。ほんとに貧弱だね。もっと運動すれば？ 授業？ 問題ないでしょ。いいよいいよ、教えてあげる。 どうしたの？ 面倒？ 歩くのが？ まだ五分も休み時間あるじゃん。まさか、この距離を五分で帰れないの？ 放課後？ 俺は別にいつでもいいんだけどね。でも明日じゃないんだ？ 立ち話って…あそこ人多いでしょ。 え？ うわ、シズちゃん。じゃ、俺ちょっと逃げるから。放課後…たぶん教室にいるけど！ ＊＊＊ （ああ、なんて面倒なのかしら）（ほんとに面倒だ。こんなことなら、確かに立ち話でもよかったかもしれない） なんて人を好きになってしまったのだろう！！ |