些細な日常



「風邪ぇ?!」
『けほっ…うん。だから…こほっ、移るから来ないでね…』
「ば、バーロー! 放課後、青子と行くからな!」
ひなは返事の代わりに、随分と辛そうな咳を返して電話を切った。端で聞いているだけでも苦しそうで、俺がかわってやれたらいいのに、と思う。
「ひな、風邪なの?」
「ああ。帰り、寄ってやろうぜ」
「そだね!」
そういうわけで、通学路は久しぶりに青子と二人。今さらコイツとの間に何もねえけどな。
「友起さん、いるのかな?」
「いるんじゃねえか? ひなを一人にすんだったら、俺か青子に連絡あるだろ」
「それもそうだね」
あっさりと頷いた青子は、早く放課後になればいいのに、と笑った。確かに、ひなのいない学校なんて退屈なだけだ。
「…あ!」
楽しそうに笑っていた青子が、急に顔を曇らせる。
「ごめん快斗。青子、放課後ちょっと用事あるの。先にひなのとこ、行っててくれる?」
「あんだよ、オメーは。すぐ済むなら待ってるぜ?」
「いいよ、大丈夫」
ひなよりも優先させる用事なんてあるものか、と考えつつ、少しだけでも、ひなと二人…友起さんはいるが…の時間を過ごせるなら、別にいいかとも思う。
俺に移したっていいから、早く治ってくれよ、と病床のひなを思った。



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