ミイラ捕りがミイラに



ここ最近、俺の命を付け狙っている連中を調べたら、どうもきな臭い。詳しく調べようと思って、ちょうど海外に行っている白馬の姿を拝借。連中と関係がありそうな男が探偵たちに持たせるどこかのフリーパスを腕につける。これも拝借したもんだけど。どうせ園内に入るわけではないし、東西の名探偵を騙せればそれでいい。
「それにしても、なぜこんなものを…」
通行人としてすれ違った時、西の名探偵につけた盗聴器から様子をうかがう。そろそろ、俺がいるこの場所へたどり着きそうだ。彼らも真の目的はわかっていないようで、まさに今それを推理しているようだ。
「…そういや、」
西の探偵が、何か気になることを言っていた気がする。話の流れはよくわからないが、フリーパスをつけている人間は、ある条件下で危険だとか。俺のはあいつらとか違うもんだからいいとして、これはどこのフリーパスだったか。
「どこだ…そこにヒントが…」
総ざらえした記憶の中で、ひなが言った。
(快斗が行ってくれなくたって、蘭ちゃんたちと行くから勝手にすれば)
(バーロ、危ねえ仕事だから仕方ねえだろ)
(はいはい。そうですか、気をつけてね)
(あのなぁ…)
「…そうか!」
ひなと行くはずだった、最近できたばかりのテーマパーク。尻尾が掴めそうだからどうしてもとドタキャンした行き先。そして、探偵たちの友人や幼なじみもそこにいて、この爆弾をつけている。
「…ひな……ま、さか…!」
名探偵の幼なじみは? 蘭って言ったよな。ひなが一緒に行くと言っていたのは…?
『もしもし?』
「ひな、もう園内か?」
『あれ、快斗? うん、中だけど…』
万が一の可能性はなくなった。聞こえないように舌打ちしてから、確認する。
「フリーパスとか言って、腕に巻くID渡されてねーか?」
『うん、渡されたよ』
電話の向こうは不思議そうな声だ。危険にさらすくらいなら行かせなければよかったと後悔しても遅い。
「……それは爆弾だ。ランドから出たら、あるいは一定時間になれば爆発する」
『嘘…!?』
携帯を壊れるほど握り締める。不安にはさせたくなかった。だけどそれで危険を知らないままではいさせたくなかったのだ。本音なら、今すぐひなのところへ行きたい。
『キッドの仕事はどうなるの?』
「それは問題ねぇ。ちょうど名探偵たちもいるしな」
盗聴器から、名探偵たちがここへついたことがわかる。姿を探して歩き回る。
「じゃな、ひな」
『あっ、ちょっと!』
心配と不安で、柄じゃなく声が震えていたので、無理矢理誤魔化して通話を切った。今までこんなに不安になることがあっただろうか。ひなが危ないというのに、俺は自分の命を優先している。
「…くそっ」
自分自身に腹が立つ。夜になるまで連中への仕掛けは使わないつもりだから、それまでは、何とかして探偵たちに協力しよう。彼らに、ひなの命を預けるしかないのだから。



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