again−2
「娘は毎年いなくなるのに、子供だけ不定期というのは妙だ。そして手順もなくいなくなっている」
「てーと、二つは別の話ってことか」
ぼーさんに頷く。ナルは気持ち早口で説明を急ぐ。
「一つは人攫いの方だ。これは既に説明がついている。もう一つが厄介だな」
「厄介?」
「ああ。恐らくは神隠しと言われるもの。そして……本物だ」
その言葉にしんと静まり返る。口火を切ったのは、麻衣だった。
「じゃあ、真砂子が見てたのって…」
「神隠しの方、でしょうね」
険しい顔をした綾子は、すぐにナルに顔を向けた。
「どうするのよ。目星はついてるの?」
「ちょっと黙っててくれませんか」
いつもの無表情が嘘のように、眉を寄せて宙を睨みつけている。太一が不安げにSPRメンバーを見回す。
「姉ちゃんは?なあ、ぼーさん!綾子!麻衣ちゃん!」
「落ち着け。ひなは絶対見つけ出すから」
瞳を揺らす太一の頭を乱暴にかき回して、ぼーさんは真砂子を振り返った。
「真砂子ちゃんや、ひなに見えてたっつう影とか気配とか、今はわからんか?」
「ええ…すみません」
ですが、と間を置いた言葉に麻衣たちが食いつく。
「気配は…何となくわかりますの。ここでははっきりしないのですけれど、どこかから漏れているような……」
「それだ!」
「そこを探せばええどすね」
差し込んだ光明に、ナルが付け加える。
「村の文献や老人にあたればメドがたつかもしれない」
極めつけに太一が、
「待って!俺、村で…山も含めて行ったことないのって、たぶん裏の穴の先だけだ」
ナルは弾かれたように歩き出す。ほとんど駆け足のような状態で、裏山の穴を目指した。
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