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昨日の場所へついたとき、意外にもあまり息は切れていなかった。自分でもいつの間についていたのか、と驚くほど走ることに夢中になっていたようだ。

「……ここだったよね」

小屋の中を覗くと、すっからかんだった。それもそうか、と思いながら、縄を巡らせて作られた円の中に足を踏み入れる。中心部のぬかるみにはやはり近寄りたくない。けれどここを調べなければ何もわからない。

「土が違う…?やわらかい」

ぐにりとつま先で押した地面は、昨日引きずり込まれた場所はやはり緩んでいて、けれどやや離れた場所では固い土壌だった。
土の境目を探すと、泥の範囲は直径二メートルといったところ。中央ほど水分量が多く、足を取られやすい。土を掘り返してみようかと思いつき、その場にしゃがみ込んだ。手が汚れるけれど、シャベルもスコップもないので仕方がないだろう。

「べちゃべちゃしてる……どうしてここだけ泥なんだろ」

ふと疑問に思った。そして土を掘り返してもそこに太一がいるはずもない。断言はできないが、そうだと信じたい。それならあたしは、どうしてこんなことをしているのか。…わからない。わからないけれど、こうしなければならない気がする。

「…え、」

カリ、と指先に泥ではない固いものが触れた。もう少し掘り進めると、木の板がちらりと見えた。埋まっているだけにしては手応えが強く、土の中から引き抜けない。さらに掘り返そうと身を乗り出すと、足元が崩れて掘り起こしたところへ滑り落ちてしまった。

「な、に?」

体がずるずると土に飲み込まれているのはわかったけれど、木の板に足がつけるのでそれより下には落ちていかない。とにかく出ようと足を踏ん張った時、ガクンと何かの抜ける感覚がした。

「わ、きゃ…!何これ!?」



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