この物語におわりはない
意識を取り戻すと、目の前にボールが迫っていた。
練習中なん!?とさすがに驚くが、キーパーの反射とでも言うべきか、そのままボールに頭突きする。
不意打ちの頭には響くが、なんとか押し返せたようだ。
「功刀!ぼーっとしゆうなら代えんとぞ!」
「っあサーセン!」
監督の怒声に大声で謝る。
そんなことを言われても、今し方事故から意識が復帰したところだ……とはいえないので、とりあえずあとで日付を確認することにする。
死んではいないことに安堵してため息をつく。
「どげんすっとね」
いくつか試したい条件があるが、そのうち一体いくつが正解に近いものだろう。
たぶん、正解にたどり着くまであの事故で死ぬことはない。
「ヨシ」
「なん?」
「今日何日や」
昼間に選抜の練習をしているということは、戻る時間は夏休みに限定されているのかもしれない。
「日付感覚なくなっとうや?一日やろ」
……戻るのか?
戻る時間は、夏休み中でランダムと考えるのが妥当のようだ。
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