死亡予定時刻から動かない未来時計
目が覚めて、カーテンの隙間から溢れる日光に目を細める。
「…ベッド」
どうやら家にいるということはわかった。
「……っ!」
慌てて起きあがると、とりあえず枕元のデジタル時計で日付を確認した。
「八月、四日」
元の世界に戻ったかと期待したのだが、残念ながらまだ抜けられないらしい。
つまり、やり直し、ということだろう。
寝癖のついた髪に指を通し、欠伸を噛みながら机に向かう。
ノートの後ろを破り、現状を書き出して整理することにした。
「今が八月、元は一月」
最初は八月三日、今回は八月四日ということは、戻される日にちは徐々に短くなるのかもしれない。
しかしそれで元に戻るのを待っていては、俺は何回事故に遭わなければいけないのかという話になる。
「鍵は、事故やろな」
どう考えてもそうなるだろう。
事故の瞬間、意識が昔に吹っ飛ばされると考える。
それから、気になることが一つある。
白いコートの、俺を庇った少女だ。
この調子でいくと、毎度彼女に庇われるのだろうが、女子に庇われるのは性に合わないし、何より、見たくない。
彼女もまた、鍵である可能性が高い。
「……って、二回でわかるわけなかね」
諦めてシャーペンをおく。
一体何回繰り返すことになるのだろう。
繰り返すのなら、せめて一ヶ月以内にしてほしかった。
「こん間にどんだけ賢ならんや。それん、」
サッカーも、恐ろしいほどの練習量になるだろう。
時間はほしいと思っても手に入らない。ある意味、得しているのかもしれない。
[1/3][
top]